東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 経済Q&A > 記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済Q&A】

孫へ教育資金 1500万円非課税 資産移転で消費活発化

写真

 孫への教育費が非課税に−。政府が取りまとめ中の二〇一三年度税制改正で、関心が高いのが教育資金の非課税措置だ。かわいい孫のためと歓迎する声、若年層への資産移転が進むとの利点がある半面、高齢世代の「財布のひも」を国が制度で操ることの是非論や、社会の格差固定につながりかねないなどの指摘もある。税にとどまらず、社会・世代間論争へ波及する大テーマでもある。 (石川智規)

 Q 制度の詳しい中身は。

 A 詳細は最終調整中だが、祖父母が孫一人あたりに贈る教育資金を最大千五百万円まで非課税とする。たとえば、孫二人がいれば最大三千万円が非課税枠となる。信託銀行などの金融機関に資金を預け、孫か孫の父母が教育費として使えば贈与税はかからない。

 現行では、入学金や塾代などその都度支払う教育費は非課税だが、使途を「教育資金」と証明する必要がある上、事前にまとまった額を贈る場合は贈与税が課税されている。たとえば、一年間の贈与財産が四百万円の場合、基礎控除後に15%の贈与税がかかり、三十三万五千円を納める計算だ。

 Q 新制度の利点は。

 A 金融機関を介してまとまった額を用意すれば、孫が必要な時にその資金を引き出せるので、祖父母も孫も教育費を使いやすい。千五百兆円といわれる日本の個人金融資産のうち、高齢者の持ち分のいくらかが三十〜四十代の父母ら若年層に移ることにつながり、教育費を通じて消費に回る。ひいてはお金の流れが活発化し、デフレ脱却の一助になると政府は見込んでいる。

 Q 課題は。

 A 超富裕層が孫名目で口座を作れば、数千万円もの資金を非課税枠にできるため、富裕高齢者の租税回避にこの制度が使われる恐れがある。

 格差社会を固定化する懸念もある。資金が孫へと引き継がれ富裕層が連綿と続くことが促進され、塾などに行けない低所得層との格差が広がりかねない。祖父母、親、孫の三世代の資金配分をめぐるいさかいが起きないかも心配だ。

 Q 結局、この制度は有用なの?

 A 一長一短だろう。お金の流れを活発化する効果は一定程度ある半面、格差固定につながる見方も根強い。ニッセイ基礎研究所の久我尚子研究員は「人生九十年時代。孫のことだけでなく自らの医療費や余暇に向けた老後のお金も備えたい。制度を賢く無理なく使うことが大切」と話している。

 

この記事を印刷する

PR情報