東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 経済Q&A > 記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済Q&A】

国債保有、歯止めなくす 最悪シナリオは放漫財政→破綻

写真

 日銀は四日の金融政策決定会合で、新たな金融緩和の枠組みを打ち出した。中でも国債の買いすぎを防ぐために設けてきた「銀行券ルール」を一時停止することで、国の財政の穴埋めに使われる懸念が高まる。政策転換による問題点をまとめた。 (木村留美)

 Q 銀行券ルールとはどういうもの。

 A 銀行券ルールは日銀が保有する長期国債が、市中に出回っている紙幣(銀行券)の額を上回らないことを決めた自主的な取り決めだ。日銀は国債を買いすぎないよう自主的に規制を定めていたんだ。

 Q なぜ停止するの。

 A 金融緩和を容易にするためだ。日銀は国債を銀行から買うことで、市場に資金を供給しているんだ。銀行に渡すお金をさらに拡大しようとすると、大量に国債を買っていかねばならない。銀行券ルールがあると、日銀は購入を思うように拡大できない。

 これまで二つに分けていた国債の買い入れ枠組みの合計は九十四兆円。既に紙幣の発行高より十兆円以上多くなっており、黒田総裁は「形骸化している」として、一時停止の判断をしたんだ。

 Q 歯止めがなくなって大丈夫なの。

 A そこは心配な点だ。

 新しい金融緩和では日銀が国が発行する国債の毎月の発行額のうち七割を買い占めることになる。政府から直接買うわけではないが、政府から見ると銀行を通して国債の大きな引き受け手ができたことは間違いない。日銀をあてこんでどんどん借金を増やす放漫財政に陥る懸念も生まれている。

 政府の財政悪化は深刻だ。一二年度は景気対策のために大型補正予算を組んで公共事業を増額、財政の大盤振る舞いをした。この先も政府は一四年四月、一五年十月と二段階の消費税増税を予定しており、増税による景気悪化ショックを和らげるため、公共事業などの大盤振る舞いを続ける可能性がある。国債を大量に引き受け続ける日銀は政府の「御用銀行」のようになってしまう。

 Q 借金が増え続けるとどうなる。

 A 国の総債務残高(借金総額)は国内総生産(GDP)の二倍に達し、千兆円を超えて、先進国で最悪だ。

 さらに国の借金が歯止めなく増えるようだと、銀行や海外の投資家は「借金返済の見込みがないのに借金を増やしている」と心配し、国債を買わなくなる懸念がある。そうすると、国債の引き受け手が日銀しかいなくなり、財政破綻という最悪シナリオが現実味を帯びる。

 発行済みの国債の価格も急落するため、国債をたくさん持っている多くの銀行が損失を抱え、貸し出しの抑制に走る。

 Q 対策は。

 A 政府側が財政再建にきちんと取り組むことだろう。米国や欧州などは日銀と同様大幅な金融緩和をしているが、緊縮財政にも取り組んでいる。日本も現実的な財政赤字削減の道筋を示さないと危険だろう。

 

この記事を印刷する

PR情報