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【経済Q&A】

巨大IT 個人データで行動予測 広告収入を独占?「監視資本主義」とは

ズボフ名誉教授(本人提供)

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 急成長するグーグルなどの巨大IT企業に、規制をかける動きが世界各国で広がっています。そのビジネスモデルを「監視資本主義」と名付け、警鐘を鳴らす米ハーバード・ビジネス・スクールのショシャナ・ズボフ名誉教授の理論が欧米で注目されています。理論のポイントをまとめました。

  (ワシントン・白石亘)

 Q 監視資本主義とはどういうものですか。

 A ウェブ検索や閲覧、交流サイトの投稿など個人のインターネット上での表現を収集して分析し、将来の行動を先読みすることで、収益につなげる新たなタイプの資本主義を指しています。グーグルやフェイスブック(FB)が無料で集めた個人データを使い消費者の好みや関心に応じて広告が出せる「ターゲット広告」を企業に販売するのが典型です。

 スマートフォンなどネットに常時接続する機器を通じて個人を追跡できることから、監視資本主義と名付けられています。

 Q どのように始まったのでしょうか。

 A 二〇〇一年のITバブル崩壊で、落ち込んだ収入を増やす必要があったグーグルが発明しました。着目したのは、検索などのユーザーの利用状況を記録したデータ。この記録を詳しく分析すれば、個人の行動が予測できると気づいたのです。活用したところ、グーグルの収入は〇一年から〇四年までに三十六倍に急増しました。

 Q 社会への影響は。

 A ズボフ氏によれば、グーグルによる監視資本主義の発明は、史上初の自動車である「T型フォード」の大量生産によって二十世紀型の大量消費に基づく資本主義が始まったことに匹敵する歴史的な転換点といいます。今や監視資本主義は「ターゲット広告」にとどまらず、金融や小売りなどさまざまな経済活動に広がっています。

 Q 懸念はあるのでしょうか。

 A ズボフ氏は、権力者や企業が監視資本主義を利用し、個人の行動を操ることを危ぶんでいます。例えば音楽を流せば踊りたくなるように、発信する文脈などを操作すれば個人の行動を誘導できるといいます。これまでにもスマホのゲームアプリ「ポケモンGO(ゴー)」の利用者が誘導されファストフード店を訪れている実例があります。これが行き過ぎれば「個人の自己決定を脅かし操ることができるようになるため、民主主義の基盤をも損ないかねない」と警告しています。

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