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【経済Q&A】

反対派経団連に配慮 ILO条約 日本批准に及び腰

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 国際労働機関(ILO)の加盟国は二十一日にジュネーブの総会でパワハラ、セクハラを全面禁止する条約を採択した。日本の被害状況も改善するのだろうか。 (池尾伸一)

 Q ハラスメント禁止条約には日本も賛成したと聞きます。これで被害者も減るのでしょうか。

 A いまのところ望み薄です。ILO条約は賛成するだけでは国内への効力を発揮しません。国会で審議して、賛成多数で承認されて初めて効力を発揮します。この手続きを批准といい、批准国は条約基準に合うよう国内法を厳格化しなければなりません。日本の場合は、ハラスメント行為自体を法律で禁止していないので、批准国になれば禁止する法改正が必要になります。国内法改正してから批准する順番でもOKです。

 ところが日本は肝心の批准するかの点を明確にしていないのです。

 Q なぜ腰が引けているのでしょう。

 A 大企業の集まりである経団連が反対しているのです。経団連は総会でも棄権しました。「パワハラと適正な指導の区別がつきにくい」と言っていますが、法律で明確に禁止になると、被害者から、企業の責任を問う訴訟が増えることを心配しているのが本音です。いまの政府は経団連の主張を聞く傾向が強く、企業に配慮して厳格化に慎重です。

 Q 今後は。

 A ILO規約では遅くとも一年半後に批准するか否か決める必要があります。政府は来年の通常国会に報告する方針で、その上で、批准するかどうかを決定する流れです。しかし、政府のこれまでのあいまいな態度からすると、国会提案しないまま放置する懸念があります。

 Q そんなことが許されるのですか。

 A 賛成したのは「世界全体にとってよいこと」と判断したわけなので、それを国内に適用しないのは大きな矛盾です。しかし、日本は職場での差別撤廃条約や労働時間上限についての条約など重要なILO条約を批准せず放置しています。今回もそうならないよう、有権者が目を光らせることも必要です。

 

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