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【経済Q&A】

京アニ寄付で税軽減 政府検討 自治体経由の優遇策探る

 京都アニメーションの放火殺人事件を巡り、政府が、同社へ寄付する個人や企業に対する税負担の軽減措置を検討していることが二十二日、分かった。特定企業に寄付する企業は税務上の損金(経費)に算入できる金額に限度があるが、地方自治体などを通すことで全額算入できる仕組みを考える。

 経済産業省や財務省、国税庁が協議し、詳細を詰める方針だ。世耕弘成経産相は二十二日の閣議後の記者会見で「現時点で具体的に決まっていないが、どういう仕組みが望ましいか検討を進めている」と表明。麻生太郎財務相は「(案が)出てきた段階で検討しないといけない」と述べた。

 京アニへの支援を巡っては超党派の議員連盟が先月二十六日、寄付金に対する税優遇などを盛り込んだ支援策を菅義偉官房長官に提案。菅氏も二十九日の記者会見で具体策を検討する考えを示していた。

◆公平性 担保が課題

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 政府は、個人や企業などが京都アニメーションに寄付する際の税制優遇を検討しています。仕組みや課題を整理しました。 (大島宏一郎、渥美龍太)

 Q 寄付を巡る税制は現状どんな仕組みですか。

 A 寄付を行う企業は現状でも、法人税の優遇を受けられます。法人税は益金(収益)から損金(費用)を差し引いた所得(利益)に課されます。寄付金の一部を損金として算入することは認められており、寄付で損金が増えると所得は減るので、納税額も少なくなります。

 Q 寄付金は全て損金にできるのですか。

 A 企業がある企業に寄付する場合、損金として算入できる額に上限があります。資本金一千万円、所得千五百万円の企業がどんなに寄付をしても、損金算入の上限は十万円です。また上限は寄付の相手によっても変わります。たとえば、二〇一六年に十九人が殺害された障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市)は運営が社会福祉法人で、企業に寄付する場合よりも損金の上限は大きくなります。

 Q 京アニの寄付では、今の制度をどう変えようとしているのですか。

 A 寄付の相手が企業の場合と異なり、自治体や国への寄付は全額を損金にできます。京アニへの寄付では、自治体を経由させるなどして、企業への寄付であっても、損金算入の上限を撤廃することを検討しているようです。上限がなくなると寄付の金額が大きいほど、法人税も少なくなります。

 Q 個人が寄付する場合はどうなりますか。

 A 自治体に寄付した時に所得税と住民税を差し引く「ふるさと納税制度」が既にあり、これを京アニ向けに活用したいようです。今は個人が企業に寄付しても税金は減りませんから、ファンがお金を出しやすくなるかもしれません。

 Q 制度の課題はありますか。

 A 自治体に対する寄付でも最終的に特定の団体に渡ることが明らかな「トンネル寄付」は国税庁の通達で禁じられ、脱法行為にならない制度設計が必要です。また、中央大の酒井克彦教授(租税法)は「国民の理解がなければ公平性を損なう恐れがあり、アニメ文化の継承といった社会的な意義が不可欠」と指摘しています。

 

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