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【経済Q&A】

西川日産社長の株価連動報酬とは 行使日ずらし4700万円上積み

辞任表明の記者会見に臨む日産自動車の西川広人社長=9日、横浜市で

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 日産自動車の西川広人社長は、役員らを対象とした株価連動報酬の一種、「ストック・アプリシエーション権(SAR)」の行使日をずらし、不当に上乗せして報酬を受け取っていました。どんな仕組みでしょうか。 (森本智之)

 Q SARは耳慣れない用語です。

 A 会社からこの報酬の権利を与えられた時の株価を基準とし、基準価格で株式を保有しているとみなします。その後に、権利行使した時点の株価との差額を報酬として受け取れます。例えば、基準価格が一株千円で、行使価格が千五百円なら、一株につき五百円がもらえます。保有する役員らは、企業を成長させれば株価が上がり、自身の報酬も増えます。

 Q ストックオプション(自社株購入権)とは違うのですか。

 A ストックオプションは基準価格で株を買える権利です。先ほどの例でいうと、権利行使日に一株千五百円になっていても、基準価格の千円で買えます。仕組みはほぼ同じですが、ストックオプションは株で、SARは現金で報酬を得る点が違います。

 Q 日産の他に導入している会社は。

 A SARはあくまでストックオプションの代替手段という位置付けで、導入している企業は少ないようです。制度として未熟な部分も多く、役員報酬のコンサルティング会社「ペイ・ガバナンス日本」の阿部直彦氏は「ストックオプションなどと比べ、細かい開示のルールがない」と指摘しています。

 Q 西川社長は行使日を後からずらしたと言われていますが?

 A 日産の発表によると、二〇一三年に権利行使日を一週間ずらし約四千七百万円を不正に上積みしました。元代表取締役のグレゴリー・ケリー被告が六月に「月刊文芸春秋」で告発したのと同じ内容です。

 食い違いもあります。日産は、西川氏から役員報酬の増額について相談を受けたケリー被告らが独断でSARの行使日をずらし、西川氏の指示はなかったと結論づけました。一方のケリー被告は自身の関与を否定しています。日産はケリー被告に話を聞いておらず、真相は不明です。

 Q 行使日を後から操作してもいいの?

 A 米国では二〇〇〇年代にストックオプションで行使日などを後からずらす企業が横行し、大きな問題になりました。渋谷展由(のぶよし)弁護士は「日本でも今回の問題を機にクローズアップされるのではないか」と話しています。

 

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