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【経済Q&A】

デジタル課税 大枠合意 OECD 過度な節税策防止へ

 経済協力開発機構(OECD)は三十日(日本時間三十一日)、巨大IT企業などの過度な節税策を防ぐ国際的な規制「デジタル課税」の導入に向け、パリで開いた会合を終え、昨年公表した骨格案で大枠合意した。三十一日に合意文書を公表し、対象企業の範囲など残る論点を詰め、今年七月の事実上の決着を目指す方針を示した。年末までに全体像を盛り込んだ最終報告書を公表する予定だ。

 世界規模で事業を展開し、一定規模以上の売上高がある企業を対象とする。一定水準を超える利益に対し、各国が自国での売上高に応じて課税する。

 グーグルやアップルなど多くのIT企業を抱える米国は、企業に新ルールを強制するのではなく、現行の課税ルールとの「選択制」にすることを提案。多くの国が反対し、継続協議することが決まった。

 サウジアラビアで二月二十二日から始まる二十カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも主要な議題となる。OECDが七月にドイツで開く会合で決着させたい考えだが各国が主張を先鋭化させれば、協議が難航する可能性もある。

 OECDのグリア事務総長は声明で「(協議が)合意できなければ、各国が独自の行動を取るリスクが大きく高まる」と述べ、世界で同一の制度を導入する必要性を訴えた。

 消費者向けビジネスを展開する企業に加え、企業向けのクラウドサービスを手掛ける企業などが対象になる見通し。インターネット関連の事業を展開する企業に、より高い税率を課すかどうかや、二重課税を防ぐ仕組みについて検討を続ける。

 OECDは、企業が特許など知的財産を税金の安い国・地域に移して節税する手法に網をかけるため、各国共通の「最低税率」を導入する方針でも一致した。

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◆巨大IT 国境越え展開 消費国も課税可能に

 OECDは、巨大IT企業などに法人税を課す新たな仕組みの骨格について大枠合意しました。新ルールはどんな内容なのでしょう。 (大島宏一郎)

 Q 新ルールの中身は。

 A 巨大IT企業のサービスを利用する消費者のいる国にも、法人税を徴収できる権利を認めるのが柱です。現在は、支店や工場といった企業の「拠点」のある国しか法人税を取れませんが、新ルールでは、拠点のない消費国も課税できる取り決めになります。「タックスヘイブン(租税回避地)」と呼ばれる国に利益を移す過度な「節税策」に対しても各国で共通の最低税率を設け抜け道をふさぎます。

 Q なぜ新ルールが必要になったのですか。

 A インターネットで音楽や広告を配信する巨大IT企業のように、消費者の多い国に「拠点」を置かず、国境を越えて事業展開する企業が増えたからです。特に、「GAFA」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)など巨大IT企業に対しては、消費者の多い国が、不満を表明していました。

 Q 巨大IT企業だけが対象になるのですか。

 A いいえ。ブランド品や携帯電話を販売するなどの「消費者向けビジネス」が対象になります。当初は巨大IT企業を念頭に議論が進みましたが、GAFAの本拠地のある米国が税収が奪われることを警戒したため、OECD加盟国は米国に配慮して幅広い業種を対象にしました。具体策としては、売上高が七億五千万ユーロ(約九百億円)を上回る企業の利益率10%超の部分に課税する案が有力ですが、まだ調整中です。

 Q 今後の行方は。

 A 七月の会合で具体的な水準を詰める予定です。しかし、各国の税収の増減に直結することもあり、巨大IT企業を抱える米国と、それ以外の国で利害がぶつかり、年内に最終合意できるかは不明です。東京財団政策研究所の岡直樹氏は「巨大IT企業から多く法人税を取りたいインドなどの新興国も含め各国が利益率『10%超』を認めるかなどが今後の焦点になる」と指摘しています。

 

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