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【経済Q&A】

稼ぎ頭 貿易から観光に

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 2019年の経常収支を見ると、旅行収支の黒字額が5年連続で過去最高を更新しました。所得収支の黒字額も貿易黒字を上回る傾向が続いています。日本はかつて、モノの輸出に支えられた「貿易立国」と呼ばれましたが、稼ぎ方は変わっています。 (大島宏一郎)

 Q 旅行収支の黒字額が伸びた理由は。

 A 日本を訪れる外国人観光客が増えたからです。旅行収支は宿泊費や飲食費など、外国人が日本で使った金額から日本人が海外で使った金額を差し引いたものです。訪日客の消費額は近年の円安を追い風に、七年連続で過去最高を更新しました。昨年はラグビーワールドカップ(W杯)効果もあり、旅行収支を含めた「サービス収支」は初めて黒字になりました。

 Q 所得収支も黒字です。貿易では稼げなくなったということですか。

 A 日本の産業構造の変化が影響しています。かつては自動車や家電製品など、製造業の輸出が経常黒字をけん引してきました。しかし、〇八年のリーマン・ショックで国内の需要が落ち込むと、日本企業は海外に工場を移して現地生産・販売するようになりました。海外子会社への投資が増えたことから、受け取る利子や配当なども膨らみ、所得収支が貿易収支に代わって主役に躍り出たのです。

 Q 観光や投資で稼ぐようになっても、日本は黒字なので安心ですね。

 A 必ずしもそうとは言えません。旅行収支の黒字額は、中国人客の旺盛な消費に支えられていますが、今年は新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大で中国人客の消費が減るなど、先行きに不安もあります。所得収支の黒字額の増加傾向にしても、日本企業の海外移転が加速して国内生産が減れば「日本人の雇用や賃金に恩恵をもたらしにくくなる」(みずほ証券の末広徹氏)という指摘が出ています。

 

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