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【経済】

算出方法変更で賃金大幅伸び 今年の勤労統計 大企業多く反映

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 「今年に入り勤労者の賃金は大幅に増えた」との結果が出ている厚生労働省の賃金調査を巡り、調査の信用性を疑問視する見方が広がっている。一月からは、中小企業より給料が高い会社が多い大企業の金額をより多く反映させているのに、その影響を考慮せず、伸び率を算出しているからだ。「給与の推移を正確に把握できない」との批判は根強く、政府の有識者委員会は今月中に見直しの是非を含めた議論を始める。

 問題になっているのは民間企業の賃金などを調べる「毎月勤労統計調査」。二十一日に公表された七月の確報値では、給料・ボーナスや手当を含めた「現金給与総額」が前年同月に比べ1・6%増えた。六月は3・3%増と二十一年五カ月ぶりの高い伸びとなった。

 ただ算出方法を変更した影響を除いた推計値では、七月の伸び率は0・8%増、六月は1・3%増にとどまる。一〜五月も前年同期比プラスだったが「上乗せ分」が大半を占めたとみられる月もあった。

 毎月勤労統計は一定数の企業を無作為に選び賃金などを聞き取るサンプル調査。この方法だと対象になった大企業や中小企業の割合は、世の中の実態との誤差が生じるため、総務省が数年ごとに全企業を調査したデータを反映させ数値を補正する。これまでは賃金の伸びを正確に把握するため、新データに更新した年は過去の分も補正してきたが、今年はそれをしなかった。その結果、規模が大きい企業が多かった二〇一八年と、少なかった一七年を比べることになり、賃金の伸び率が実体より大きくなった。

 厚労省は、過去にさかのぼった補正をやめた理由について「いったん公表した数値を変えると統計の信頼性が揺らぐ」と説明。加藤勝信厚労相も記者会見で「問題ない」という認識を示した。しかしエコノミストの間では「賃金が伸びた理由を説明せず、増加を政権の『実績』にしようとしているのでは」「今年の賃金の伸び率は当てにならない」などの声が上がる。

 厚労省は算出方法を変えなかった場合の伸び率も参考値として明らかにしているが、政府の有識者会議「統計委員会」は今月の会合で改善策の議論を始める予定だ。 (渥美龍太)

 

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