東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 10月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

万年筆、インク多色化 低価格品充実 カラフル書き味

約1000種のボトルインクをそろえて開かれたイベント=東京都中央区の「銀座・伊東屋」で(魚眼レンズ使用)

写真

 万年筆の人気が高まっている。インクの種類が豊富になってきたほか、手頃な価格の商品が増えて愛用者の裾野が広がってきた。ツイッターやインスタグラムなどの会員制交流サイト(SNS)で「映える」ことも若者らの心をつかんでいるようだ。 (瀬戸勝之)

 「インク沼へようこそ〜」

 東京・中央区の文房具専門店、銀座・伊東屋で、九月に開かれた万年筆のインクのイベントで掲げられた不思議なテーマ。趣味の世界の奥深さにはまることをネット用語で「沼」といい、イベントはインクの収集熱の高まりを受け初めて企画した。会場では国内外のメーカーの約千種類を試し書きできるとあって、にぎわった。「万年筆初心者」という会社員女性(34)は「こんなに多彩な色があるなんて。インク沼にどっぷりとはまってしまいそうです」と笑顔で話した。

 万年筆は、筆圧の強弱によって表現力豊かに文字が書ける人間味が魅力だ。デジタル機器が全盛だからこそ、ひと手間かけて手紙を書くことでより思いを伝えたり、SNSでイラストなどを公開したりする人も目立ってきている。

 市場調査会社の矢野経済研究所によると、万年筆の国内出荷額は二〇一六年度に四十六億五千万円で、一三年度比で23・3%増えた。

 インクの「多色化」をけん引したのは国内メーカーだ。セーラー万年筆は日本の四季をイメージした「四季織」(二十色)に加え、三月に百色がそろった「インク工房」を発売。パイロットコーポレーションは「竹炭」「朝顔」など日本的な色を取りそろえた「色彩雫(いろしずく)」(二十四色)を、プラチナ万年筆は複数の色を混ぜて好みの色を生み出す「ミクサブル」(九色)を扱う。

 千〜二千円台の低価格の万年筆が充実してきたことも市場の広がりを後押しした。パイロットの「カクノ」(千八十円)は小学生をターゲットに企画されたが、万年筆初心者の大人にも受けてヒットしている。

 文房具の専門誌「趣味の文具箱」編集長の清水茂樹さんは「文字の濃淡やにじみといった個性を表現できることが(ネット世代の)若年層にはとても魅力的だ。インクの色も増え、便せんの色との組み合わせを選ぶ楽しみも広がっている」と指摘する。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報