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【経済】

中小店舗でキャッシュレス決済 世代間で不公平も

<解説> 安倍晋三首相が一年前に消費税率10%への引き上げを表明し、三たび延期するという観測を打ち消すのは主に三つの狙いがある。第一は増税による景気悪化を防ぐための対策を早めに打ち出すことだ。首相には二〇一四年に行った8%への税率引き上げで、経済の長期低迷を招いた苦い経験がある。

 景気対策の柱と想定しているのが中小の店舗を対象に、引き上げから半年か一年の期間限定で、カードなどを使った支払いなら税率2%分のポイント還元を認める対策だ。経済産業省などにはキャッシュレス決済を普及させるため、軽減税率対応のレジ改修などと合わせて設備投資を促す狙いもある。

 ただ、キャッシュレス決済はクレジットカードやスマートフォンなどの所持が前提になり、恩恵を受けられない人もいる。高齢者や低所得者らが置き去りになる恐れもあるほか、2%還元を認める店舗の線引きで混乱を招きかねない。

 第二は軽減税率導入に向けた準備加速だ。首相は過去、二回も増税延期を表明しているだけに、中小企業の約八割は軽減税率の準備に取り掛かっていないのが実情で、対策を促す狙いがある。

 第三は、自ら政権の「最大のチャレンジ」と位置付ける全世代型社会保障改革の財源にめどを付けることで、子育てしやすい社会づくりに本腰を入れて取り組む姿勢をアピールすることだ。

 全世代型社会保障改革には働く高齢者を増やし、年金などの社会保障費を抑制する狙いもある。具体的には、定年延長や継続雇用制度の導入などで希望者全員を六十五歳まで雇用するよう企業に義務付けており、これを七十歳までにすることで、原則六十五歳となっている年金受給開始年齢も七十歳超へ引き上げることを目指す。

 高齢者にはしわ寄せがいくが、これまで恩恵をあまり受けていなかった子育て世代への支援を強調することで、世論の批判を回避する狙いもある。 (関口克己、生島章弘)

 

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