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【経済】

公表数少なく遠い安心 KYB 「制振」の交換、難航予想

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 免震・制振装置の検査データを改ざんした油圧機器メーカー、KYBが初公表した対象建物は中央省庁や自治体庁舎など計七十件にとどまり、肩すかしに終わった。今後始まる不正品の交換作業は難工事や建設現場の人手不足が予想され、代替品の生産も追いつかず、物件によっては二年待ちとなる恐れがある。安心への道のりは長い。

 「不適合と判断されれば交換の時期や方法を検討し最優先事項として扱ってもらいたい」。東京都の小池百合子知事は十九日の記者会見で語気を強めた。二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの競技会場として建設中の五輪水泳センターなどにKYB製品が使われているが、同社公表資料に言及はなく、改ざんの有無ははっきりしない。

 不安が全国に広がり、対象疑いの物件を自発的に公表する自治体が相次いでいる。茨城、千葉両県の病院でもKYB製品が使われていることが分かっているが、同社は十九日の発表で庁舎以外の具体名を明かさなかった。問い合わせが殺到しているものの「人員が足りず説明に回れていない」(幹部)状況で、対応は後手に回っている。

 免震・制振用オイルダンパーの検査は担当者一人で受け持つ劣弱な体制だった。一万本の対象ダンパーを全て交換するには、生産量を五倍に増やしても最短で二〇年九月までかかる計算になる。やっかいなのは制振用ダンパー。建物の骨組みとセットで壁内に埋め込まれ、交換を前提としないケースが多い。壁を剥がす工事になれば立ち入り制限が避けられない。

 不正装置を使った建物を震度7程度の地震が襲っても倒壊する心配はないとKYB、国土交通省は口をそろえる。

 だが自然災害に「想定外」は付きもの。入院患者を収容する病院、化学薬品を扱う研究施設が大きく揺れれば、倒壊に至らなくても、揺れそのものが大事故に直結しかねない。

 二百を超える住居用建物でも不正装置の使用が疑われている。マンションは資産価値が下がるなど風評被害も懸念される。

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