東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 10月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

各国企業、サウジ投資と距離 孫氏「砂漠のダボス会議」講演中止

写真

 ソフトバンクグループの孫正義社長が、「砂漠のダボス会議」といわれるサウジアラビアの投資会議「未来投資イニシアチブ」での講演を取りやめたことが明らかになった。著名記者の死亡事件で世界中の企業がサウジと距離を置き始めており、ソフトバンクも国際社会の批判を恐れたとみられる。同社はサウジ政府の公的資金を柱に投資会社へと変貌する計画だったが、事件はソフトバンクの基本戦略に影響する可能性がある。 (吉田通夫)

 講演中止はダウ・ジョーンズ通信が二十三日報じた。米自動車フォードなど各社首脳らの出席中止も続々と明らかになっている。

 ソフトバンクGは、通信会社「ソフトバンク」の親会社。孫社長は六月の株主総会で「通信事業に97%使っていた頭を投資に回す」と述べ、投資会社を目指す考えを強調した。核になるのが、サウジの政府系ファンドなどと設立した「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」だ。

 立ち上げには、疑惑の渦中にあるムハンマド皇太子が大きくかかわる。二〇一六年九月、孫氏が来日していたムハンマド氏と会い、構想が具体化したのだ。

 投資資金約十兆円のうちサウジ政府系のファンドが半分の約五兆円を出資、半導体や人工知能(AI)など約三十社に投資する。ソフトバンクGは一八年四〜六月期の連結営業利益の三割にあたる約二千四百億円をファンド事業で稼いだ。

 今後、サウジ政府と「二人三脚」の投資戦略に支障が出てくるとの見方が浮上している。ソフトバンクGの二十三日の株価は四日続落し九千百五十七円。九月二十八日の年初来高値から二割下がった。皇太子は孫氏とのファンドに五兆円規模を新たに出資する考えを示していたが、これも宙に浮く見込みだ。

 ソフトバンクは出資する配車大手ウーバー・テクノロジーズの技術を核にトヨタとの提携を打ち出したが、ウーバーにもサウジ政府系ファンドが巨額資金を出資する。疑惑の影響はソフトバンクとトヨタとの協業にも飛び火しかねない。

 ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次氏は「孫氏の『カネの出所』への懸念が強まっており、サウジと考えていた事業計画は実行が難しくなっている」と指摘。「サウジとの協業に早々に見切りを付け、ほかの事業に力を入れていくのではないか」と語った。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報