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【経済】

出口見えず、暴落危惧 日銀ETF買い 効果は限定的

 日銀による上場投資信託(ETF)の買い入れ額が十月、月額ベースで最大に上り、世界的な株安を背景に、日銀による「株買い」の勢いが増している。中央銀行による株買いは、世界の主要国ではどこも採用していない異例の策だ。弊害を指摘する声が増えている。 (岸本拓也)

 日銀のETF買いが始まったのは、リーマン・ショック(二〇〇八年)で市場がまだ揺れていた白川方明(まさあき)前総裁時代の一〇年十二月。当時、「極めて異例な措置」(白川氏)だったが、今では日常風景になった。

 黒田東彦(はるひこ)総裁が買い入れ枠を段階的に拡大し、現在は年約六兆円。昨年は東京証券取引所で最も株を買った「投資家」となった。

 日銀が株を買うのは、値下がりリスクを減らし投資家に安心感を与える、という理屈だ。ただ、導入当初は、リーマン・ショックの影響で投資家心理も冷え込み、一万円を下回っていた株価も、いまや二万円を超えた。

 危機的な状況はとうに脱しているが、黒田総裁は「2%の物価目標の実現に必要な政策だ」と強調する。ただ、株高による資産効果で宝飾品などが売れることはあるものの、恩恵は一部の富裕層止まり。物価全体を引き上げる力は乏しい。

 将来、大規模緩和を手じまいする「出口」に向かう際、日銀が大量に保有するETFを手放せば、株価暴落につながる恐れもある。日銀自身が大きな損失を被る可能性が高い。

 日銀は七月に六兆円の枠を「上下に変動しうる」と政策を修正。買い入れ額を減らす方向に軌道修正したとの見方もあった。

 しかし、いざ株価が下落局面になると、買い入れは再び膨張に向かった。安倍晋三首相は株価を重視しており、市場からは「政権に気を使って、株安につながる可能性のある対応は取れない」(大手証券)との声が漏れる。米中の貿易摩擦などを背景に世界経済は減速方向にあり、日銀は買い入れ額をさらに増額していく可能性もある。

 ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは「ETFの買い入れをやめると影響が大きいので、やめるにやめられない状況に陥っている。本来の中央銀行のあり方として好ましくない」と警告している。

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