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【経済】

中小M&A サイト活況 「売り手」後継者いなくても継承

高級バイク専用駐車場を運営するアイドゥ本社。前の経営者の池田寛和さん(左)が時折訪ね、細田雄吾社長にアドバイスをしている=東京都港区で

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◆「買い手」起業よりハードル低く

 中小・零細企業の合併・買収(M&A)を仲介するインターネットの「マッチングサービス」が活発になっている。後継者がおらず、自社の譲渡を考える経営者が増加。起業でなく、会社の買収によって新たな事業に乗り出す経営者が増えてきたことが背景にある。 (瀬戸勝之)

 「ニッチな(特定の狭い)分野で成功した企業を探したい」。高級バイク専用の駐輪場を首都圏三十二カ所で運営する「アイドゥ」(東京)の細田雄吾社長(34)は、M&A仲介サイト「SMART(スマート)」のチェックに余念がない。

 政府系金融機関に勤めていたが退職し投資会社を設立。「一から会社をつくるより買収した方が事業を拡大しやすい」とスマートを利用し三年前にアイドゥを買収した。今後も数社を買って子会社化するなどし、上場するのが目標だ。

 一方、細田さんにアイドゥを売却した池田寛和さん(57)は親族への継承にこだわりはなかった。アイドゥの売上高は年数億円で安定していたが「元気なうちに引退し第二の人生を謳歌(おうか)したい」と、スマートなどに登録。五十社超の候補から「金額でなく人柄で細田さんを選んだ」と言う。

 スマートは仲介サイトの草分けで、昨年六月に東証一部に上場した「ストライク」(東京)が運営。売り手、買い手(個人は対象外で企業限定)も登録は無料で、具体的な交渉に入ると公認会計士らが面談し、譲渡計画づくりなどを手伝ってくれる。

 中小企業の事業承継は買い手探しに手間とコストがかかる上、手数料が安く、仲介ビジネスが成り立ちにくかった。ストライクはネットの活用で効率性を高め、売上高が年数億〜数十億円規模の中小企業を中心にしたマッチングで業績を伸ばしている。荒井邦彦社長は「小規模な企業の経営者ほど自社への愛着は強い。きめ細かくサポートしている」と強調する。

 東京商工リサーチによると、二〇一七年に休業や廃業した事業者数は全国で約二万八千百件と〇八年比で約三千四百件(約14%)増加。事業者のうち八割が六十代以上だった。事業承継のニーズはさらに高まるとみてマッチングサイトを開設する企業が相次ぐ。

 売上高が年一千万円以下の小規模業者まで扱うのは「トランビ」(東京)。サイトには学習塾やパン屋なども掲載。脱サラした若者が買収したケースもある。

 売り手、買い手の両方から手数料を取る会社も多いが、トランビは買い手だけが3%の手数料を支払う。高橋聡社長は「売り手から手数料を取らないことで事業承継のハードルが下がり廃業しか選択肢がなかった経営者も関心を持ってくれるようになった」と話す。

 

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