東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 11月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

増税対策5%ポイント還元 キャッシュレス決済、不公平さ拡大 

写真

 来年十月の消費税増税対策の目玉となるキャッシュレス決済時のポイント還元制度は二十二日、安倍晋三首相の鶴の一声で、付与率が2%から5%へ跳ね上がった。東京五輪・パラリンピックが開かれる二〇二〇年夏までだが、同時に五輪に向けた建設需要も減少するため、五輪を境に大きな景気の冷え込みを招く懸念がある。クレジットカードなどを使えない低所得者や高齢者に恩恵が及ばない不公平さも一層増幅される。 (生島章弘、吉田通夫)

 ポイント還元制度は、経済産業省がキャッシュレス決済が海外に比べて遅れているとして消費税率10%への引き上げに乗じる形で打ち出した対策。増税幅と同じ2%の付与を軸に検討が進められており、首相が唐突に上積みを表明したことに財務省でも「訳が分からない」(幹部)と戸惑う。

 首相の意向に沿って制度設計されれば、中小・小規模店ではクレジットカードなどを使った買い物のたび、5%のポイントがつくことになる。軽減税率の8%が適用される飲食料品の場合、実質的な消費税率は二十年以上前と同じ3%まで下がる計算だ。

 東京五輪後は税率が実質的に5%上がることになるため、消費に打撃を与えそう。これは東京五輪・パラリンピックを見据えた建設特需が一段落している時期に一致し、景気への「ダブルパンチ」となる可能性も。景気腰折れを防ぐために新たな刺激策を行えば、財政健全化はさらに遠のく。

 ポイント付与率を高めることは、制度がはらむ不公平さを強めかねない。ポイントは買い物額に比例して多くなるため、高額消費をする富裕層の恩恵は大きい。一方、クレジットカードをつくれない低所得者やスマートフォンに不慣れな高齢者などキャッシュレス決済を利用しない消費者には恩恵がない。負担を嫌って端末導入を見送る中小・小規模店では買い物をしても還元はなく、客足が遠のく小規模商店も出てきそう。

 さらに地方はキャッシュレス決済に対応した店舗が大都市圏より少ないため、住んでいる場所による格差も生まれる。「人によって恩恵に差があり、消費税対策としてなじまない」(第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミスト)という批判も出ている。

 首相と距離を置くベテラン議員は、来年の統一地方選と参院選をにらんだ対策だという見方を示し、「『金をばらまけば国民が喜ぶ』という発想が透けて見える」と批判。消費税増税対策が膨らむ一方の現状に「税率を上げる必要がないのでは、という声も出てくるだろう」と語った。 

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報