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【経済】

<働き方改革の死角>氷河期世代、進まぬ支援 政府の助成金利用1割未満

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 就職氷河期の世代を正社員として採用させるため厚生労働省が企業に支給する助成金の利用が、予算の一割未満にとどまっていることが判明した。「同一労働同一賃金」という政府の掛け声とは裏腹に、一九九〇年代後半から二〇〇〇年代前半までのこの世代を中心に非正規で長年働く人たちの就労支援は進んでいない。 (木村留美)

 バブル崩壊で、就職難に見舞われたこの世代は卒業時に正社員として就職できず、派遣社員やパートで働いている割合が高い。

 助成金は「長期不安定雇用者雇用開発コース」として二〇一七年度から開始。氷河期世代を念頭に「過去十年間に五回以上離職や転職を繰り返している人」を正社員採用した大企業に一年限りで最大五十万円(中小企業は最大六十万円)を支給している。

 しかし、一七年度は約五億三千万円の予算で利用されたのは、二十七件、七百六十五万円にとどまった。一八年度は十億七千万円に予算を倍増したにもかかわらず、十二月末までで一億二千八百万円(四百五十三件)が使われただけだ。

 厚労省の担当者は「長期不安定雇用者」の名前のイメージが悪かったと説明。名称を一九年度から「安定雇用実現コース」にし、条件も「正社員として雇用された期間が通算一年以下」などに変更。政府の予算案に九億八千七百万円を計上している。

 ただ、変更後も条件は厳しく、「一年限り五十万〜六十万円」の助成で、正社員採用が進むか見通せない。

 氷河期世代は現在、三十代後半から四十五歳前後と中年に入る。たまたま社会に出る時に不況が深刻だったこの世代の支援の重要性は識者やNPOが指摘してきた。安倍晋三首相は「一度の失敗で烙印(らくいん)を押されるのではなく、何度でもチャレンジできる社会を作る」と言いながら、対策の遅れは明白だ。

 立命館大学の高橋伸彰教授は「政府はセーフティーネットをつくる役割を放棄し、『自己責任』で押し通そうとしてきた。いまからでも経験を積めなかった人たちの職業訓練などやれることから始め、働く人が豊かになる改革を行うべきだ」と話している。

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