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【経済】

日産特別委 事実解明足りない 八田進二・青学大名誉教授に聞く

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 カルロス・ゴーン前会長の事件を受け、日産自動車の「ガバナンス(企業統治)改善特別委員会」が二十七日にまとめた提言は、社外取締役を増員したり、業務の執行と監督の機能を分けたりして、権力集中を防ぐ体制づくりを求めた。提言の評価や日産の課題について、ガバナンス問題に詳しい青山学院大の八田進二名誉教授に聞いた。 (聞き手・森本智之)

 提言内容は経営学の教科書に書いてあるような当然の話ばかりだ。例えば、執行と監督の分離など二十年前から言われていることで、それを導入しただけでは再発防止策にならない。

 提言の大きな問題は、事実の解明が不足していることだ。どこに問題があったか事実をあぶり出さなければ打つ手は決まらない。だが、特別委は自ら事実調査をせず、結果的に日産の内部調査をうのみにした。ゴーン前会長らの聴取もしておらず、最初から日産は被害者という主観が入っているとも感じる。

 提言が会長職の廃止を求めたのは良いことだ。権力の集中を避けるため、会長は非執行役が務めることが望ましい。日産では社長や最高経営責任者ら執行役が兼務してきた。

 本当にガバナンスを改善するには企業風土、会社のDNAを変えなければならない。極めて難しいことだが、考えられる手の一つは「輸血」。執行のトップを外部から連れてくる。ゴーン前会長が一九九九年にルノーから赴任して「ゴーン・ショック」を起こしたように。その際に執行のトップに就任の年限を設けることも必要だ。

記者会見するガバナンス改善特別委員会の西岡清一郎共同委員長(左)と榊原定征共同委員長=27日午後、横浜市西区で

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 長年にわたりゴーン前会長の不正を許した執行部の総取っ替えも必要だろう。社員にも「変わったな」と実感を持ってもらわなければ優秀な人材は会社を離れていく。こうした点で、特別委が現経営陣の責任の検証を最初から放棄した点も問題だ。

 社外取締役を選ぶときに、社長がお友達を呼んできてイエスマンばかりになるというのはよくある話。執行部ときちんと対峙(たいじ)できる社外取締役をどう選出するか。まずはその選任プロセスを透明化することだ。

 裁判も控えており、なかなか自分たちの責任を表立って言えないだろうが、西川(さいかわ)広人社長らはこうした次世代の人事を固めた上で、うみを出し切るために身を引くことも大前提だ。

 はった・しんじ 1982年慶大大学院商学研究科博士課程単位取得満期退学、博士(プロフェッショナル会計学)。日米における監査と企業統治の最新事例を研究。駿河台大教授などを経て、青学大名誉教授。金融庁企業会計審議会委員(内部統制部会長)などを歴任。

 

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