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【経済】

中高生らに「村上投資塾」 物言う株主 元手最大10万円提供

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 「物言う株主」として、かつて村上ファンドを率いた投資家の村上世彰(よしあき)氏(59)が私財を投じて「お金」の教育に力を入れている。中高生が損をしないで、投資体験できる仕組みを今年から始めた。実際の投資は資産を失う危険性を伴うだけに、投資体験を通じて、お金の知識や株価を左右する世の中の動きに関心を持つ重要性を訴える。

 「なぜ株価が上下したのか。新聞を読んだりして自分なりに考える癖をつけて」。三月二十八日、東京都渋谷区内で開かれた講演会で村上氏が語りかけた。出席者は、今年一月からの投資体験に参加する中高生とその保護者ら約百二十人。株式投資の疑問にも答えつつ、社会の動きを知る大切さを説明した。

 村上氏は二〇〇六年、ニッポン放送株を巡るインサイダー事件で逮捕され、一一年に有罪が確定。四千五百億円近い運用資産があったファンドは解散。その後、妻の影響を受け社会貢献を始めた。一七年から子供向け講演を始め、今年からは投資体験も取り入れた。日本の教育現場でも金融教育は拡充されつつあるが、村上氏は「実際の投資体験はお金のことを考える貴重な機会になる」と言う。

 投資体験をしてみたい中高生は、ネット証券「GMOクリック証券」で本人名義の証券口座を開設する。その後、村上氏が設立した村上財団の審査を通ると、元手資金の三万円が振り込まれる。実際に株式を売買し、定期的に結果と感想を報告すれば、最大十万円まで受け取れる。

 仮に、投資損で元手を全て失っても資金の返済の必要はない。逆に、利益が出て元手より増えた分は中高生がもらえる。体験者は一年後、元手で残っている金額だけを寄付の形で財団に返す仕組みだ。

 すでに三千人以上が応募し、約二百人が投資を始めた。当面、一万人を目標に参加者を募る。村上氏は「減った分はこちらで面倒を見るので、子供たちには思い切りトライしてほしい」と話す。

 投資体験の詳細は、https://imakimi.jp/まで。 (岸本拓也)

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◆投資家・村上世彰氏

<むらかみ・よしあき> 1959年、大阪府生まれ。東大を卒業後、83年に通産省(現経済産業省)入省。99年に独立、村上ファンドを設立した。現在は、シンガポールを拠点に個人投資家として活動。近著に「いま君に伝えたいお金の話」(幻冬舎)。

◆損したら「なぜ」考えて 村上氏に聞く

 子供に資金を与え、株式投資を実体験してもらう取り組みを進める村上世彰氏にその狙いを聞いた。 (聞き手・岸本拓也)

 −投資体験を始めたきっかけは。

 「昨年、子供向けにお金に関する本を出したが、実際に経験を積んでもらうのが良いと思い、今回の取り組みを始めた。これで、損をかぶるのは僕だけですから、子供たちには思い切ってやってほしい。こっちは全財産を使い切るくらいの気持ちでやっている」

 −投資体験で子供たちに期待していることは。

 「大損した人に期待している。『なぜ損したんだろう』って考えてほしい。お金のことを理解してもらい、みんなの意識が変わって、お金が社会にぐるぐる回るようになれば、僕はうれしい」

 −社会貢献の活動に関わるきっかけは。

 「クリスチャンで慈善活動に熱心な妻の影響が大きい。東日本大震災の時には、お金や物資を届けた。現場では自衛隊が頑張っているのを見て、改めて自分が一番国の役に立てることは何かと考えたら、得意な『お金』かなと思うようになった」

 

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