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【経済】

<働き方改革の死角>セクハラ防止策 導入進まず 検証なくパワハラ対策審議

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 十六日から国会での本格審議が始まった職場でのパワーハラスメントを防止する法案に関連し、先行導入されているセクシュアルハラスメント防止の法律では、相談窓口を設置した企業が36・5%にとどまるなど防止策導入率が極めて低いことが判明した。社会問題となるハラスメントだが、政府は効果の検証がないまま対策を講じようとしており、専門家は「セクハラ防止策の問題点を検証した上で、職場のハラスメント行為全体を直接禁止することも含めた議論が必要」と指摘する。 (岸本拓也)

 政府は今国会で労働施策総合推進法を改正、二〇二〇年四月にも企業にパワハラ防止対策を課す。男女雇用機会均等法改正で〇七年に導入されたセクハラ防止対策を踏襲し、相談窓口などを義務付ける。

 だが、政府系の独立行政法人の労働政策研究・研修機構の調査(一六年)によると、セクハラ対策導入から約十年経過した時点で窓口設置した企業は四割未満。担当者への研修も3・4%しか実施していない。対策を何も講じていない企業も40・8%に上った。厚生労働省の一七年度調査でも未対策企業は約35%だった。結果、深刻なセクハラ被害も一向に減っていない。

 防止策導入が低迷する理由について同日の国会に参考人出席した同機構の内藤忍(しの)副主任研究員は「罰則はなく、悪質な企業名を公表する制裁措置も公表例はない。労働局も監視人員が不足している」と指摘。「パワハラ対策でも同じような(導入低迷の)事態が想定され、ハラスメント行為自体を禁止することが抑制と救済につながる」と述べた。

 世界ではパワハラ、セクハラも区別なくハラスメント行為全体を罰則付きで禁じる規制が主流。だが、厚労省審議会では労働組合代表が同様の禁止規定導入を要求したが、経済界の反対で見送った。

<ハラスメントと防止策> 厚生労働省によると、2017年度に全国の労働局に寄せられたパワハラに関する相談は、約7万2000件と6年連続で各項目中トップで年々増加傾向。セクハラに関する相談も約6800件と高止まり。国際労働機関(ILO)によると、職場のハラスメントを刑事罰や損害賠償の対象として直接禁止する国は調査した80カ国中60カ国。先進7カ国(G7)で同様の規制がないのは日本だけとなっている。

 

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