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【経済】

企業の通年採用拡大を 経団連「終身雇用変える時期」

 経団連は二十二日、採用と教育の在り方を大学と話し合う産学協議会の第二回会合を開き中間報告を取りまとめた。春の新卒一括採用に偏り過ぎている慣行から脱却し、多様な方式による採用への移行が必要と提言した。IT企業などで目立つ通年採用が広がる見通しで、学生の就職活動に大きく影響しそうだ。

 報告は政府の未来投資会議の議論に反映させる。現在の一括採用では、海外から夏ごろに帰国する留学生にとって、大企業の採用活動が終わっていて不利になるなど、手法が時代にそぐわないとして、改善に向け産学で協議を進めてきた。

 報告は「学生個人の意思に応じた、複線的で多様な採用形態に、秩序をもって移行すべきである」と明記。留学を含め学生が学業に専念できる時間を確保できる就職・採用方法に改め、質の高い大学教育を企業と大学の共通理解で実現していくことを盛り込んだ。

 今後、作業部会を設置し、具体的な仕組みづくりを検討する。混乱なく多様な採用形態に移行するための方策や、インターンシップの在り方なども話し合う。

 経団連は昨年秋、面接の解禁日などを定めた「就活ルール」の廃止を決定したことを受け、経済界と大学が継続的に意見を交わす初の枠組みとして今年一月に協議会を設立した。経団連の就活ルールは二〇二〇年春入社(今の大学四年生)を最後に廃止し、二一年春入社以降は政府が主導する。

   ◇

 今後の採用活動の在り方に関し経団連や大学関係者でつくる産学協議会が、新卒学生の通年採用の拡大を盛り込んだ中間報告をまとめた。経団連の中西宏明会長は新卒一括採用とともに終身雇用についても、変える時期に来ていると強調した。日本の雇用は大きな転換点に差しかかっている。

 「終身雇用うんぬんは社会の習慣。企業から見ると、一生雇用を続けるという保証書を持っているわけではない」。中西氏は産学協議会の会合後、記者団に対し、終身雇用が限界に来ているとの見方を示した。

 大学を出たばかりの若者を春に一括して採用し、定年まで勤めてもらう終身雇用。この日本独自の雇用慣行は、世界との競争が激しくなっている中で、立ちゆかなくなっているというのが、中西氏の考えだ。

 終身雇用の継続に疑問の声を投げかけるのは財界だけではない。昨年十月、茂木敏充経済再生担当相も「戦前は終身雇用という形態はあまり一般的ではなかった」と指摘。「雇用問題について集中的に議論を進めたい」と述べている。

 さらに中間報告をもとに今後議論を進める政府の未来投資会議では、既に昨年十月の定年延長に関する議論の中で竹中平蔵議員(東洋大教授)が「自由に働いて、自由に雇って、結果的に生涯現役社会が実現する」と主張。「解雇ルールの見直しを論点に加えてほしい」と踏み込んだ発言をした。

 だが終身雇用や年功序列賃金といった日本型の雇用形態が崩れれば、働く人の人生設計も大きく変わることになりかねない。

 労働問題に詳しい日本総合研究所の山田久主席研究員は日本企業が変化を迫られていることへの理解を示しつつも「一企業で雇用を支えきれないなら、賃金が下がらないような条件での再就職支援などを社会全体で保障する必要がある。だが、その仕組みづくりは追いついていない」と指摘。

 その上で「大企業が雇用責任を放棄すれば労働者は疑心暗鬼になり、結果的に日本企業全体の競争力をそぐことにもなりかねない」と警告した。 (木村留美)

 

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