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【経済】

NY原油、半年ぶり高値 イラン産禁輸 米の猶予撤廃が影響

 【ロンドン、ニューヨーク=共同】トランプ米政権がイラン産原油の全面禁輸を発表したことを受け、連休明け二十二日のニューヨーク原油先物相場は急伸した。

 指標の米国産標準油種(WTI)五月渡しの終値は連休前の十八日に比べ一・七〇ドル高の一バレル=六五・七〇ドル。昨年十月三十日以来、約半年ぶりの高値水準となった。

 二十三日午前の東京商品取引所でも中東産原油の先物指標価格が年初来高値圏で推移。十連休中のガソリン小売価格にも影響を与えそうだ。

 中東に近い欧州の代表的な原油指標、北海ブレント原油先物相場も二十二日、六月渡しが一時、連休前の十八日終値に比べて3%以上急伸し、一バレル=七四ドルを上回った。

 トランプ政権は二十二日、イラン原油の禁輸から日本など八カ国・地域を除外した猶予措置の撤廃を決め、供給不安が広がった。

 イラン政府高官は二十二日、対抗措置として原油輸送の大動脈、ホルムズ海峡の交通を制限する可能性に言及した。

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◆日本向け禁輸 家計打撃も

 米政府がイラン産原油の例外なき禁輸を各国に求め、これまで猶予されてきた日本向けも途絶えることが決まった。世界最大の産油国となり自国の必要量確保に不安のない米国は強気だが、原油が値上がりすれば、輸入国日本の暮らしや産業は翻弄(ほんろう)される。中長期の視点で重要な調達先の多様化にも逆風となる。

 石油元売り業界は米国との交渉を日本政府に再三要請し、政府も「米国と緊密に意見交換」(菅義偉(すがよしひで)官房長官)を重ねてきたが、イラン産の輸入継続はかなわなかった。

 そもそも米政府がイラン制裁を検討する上で、日本の意向をさほど重視した節はない。懸念したのは原油供給不安の引き金を自ら引くことだった。供給確保を求めてサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)との交渉に力を注いだが、限定的な輸入を認めた日本などに対しては詳細な説明を欠き、関係者を戸惑わせた。

 日本の輸入に占めるイラン産の割合は二〇一七年度実績で約5%まで低下。禁輸による直接の影響は限られるが、主要産油国であるイランが国際市場から締め出されれば、供給不安から値上がり圧力が避けられない。

 レギュラーガソリンの全国平均小売価格は最近、上昇が続き、十五日時点の価格は一リットル当たり百四十七円二十銭と約四カ月ぶりの高値を記録。二十二日の東京市場では原油先物価格が大幅上昇した。大型連休の需要期と重なる最悪のタイミングで、さらに高騰すれば家計に深刻な打撃が及ぶことになる。

 影響は原材料費や物流費の上昇を通じて企業活動にも広がる。コーヒー製造大手は「人件費もかさみ、値上げしたいが耐えている状況だ。ガソリン代が上がると厳しい」と吐露。今後、飛行機の燃油価格が上昇すれば、チケット代に上乗せされて利用者に負担が回る事態も懸念される。

 東ソーは原油由来のナフサ高騰を受け、食品包装などに使われる樹脂製品の値上げを二十二日に発表。業界関係者は「市況次第で、さらなる値上げもあり得る」と語った。

 原油のほぼ全量を海外に頼る日本にとって重要なのが輸入先の多様化だ。供給地の設備トラブルや政情不安が生じても、安定調達できる代替ルートを常に確保しておくことが求められる。

 新型原油シェールオイルを増産し、世界最大の産油国となった米国は「日本を含む同盟国に対しても米国産を輸入すればいいじゃないかと強気の姿勢」(業界関係者)だが、シェールオイルの生産可能年数を「短命」とみる日本の元売り各社は、中東産を重視する方針を簡単には譲れない。

 原油取引は一度断絶すると、輸入を再開しようにも関係再構築に大きな労力がかかるとされる。イラン産の禁輸は目先の影響を超え、日本の中長期的なエネルギー政策に深刻な影を落とす危険をはらんでいる。  (ワシントン、東京・共同)

ペルシャ湾にあるイランの油田=2005年7月(ロイター・共同)

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