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【経済】

スルガ銀、幻の高収益 不正1兆円 業者と癒着、闇深く

記者会見の冒頭、一礼するスルガ銀行の有国三知男社長(右)=15日午後、静岡県沼津市で

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 投資用不動産を巡るスルガ銀行の不正融資が疑い案件を含めて一兆円を超え、業界屈指とされた高収益事業が「砂上の楼閣」だったことがはっきりした。取引業者との癒着も指摘され、行内にまん延する闇は深い。新生銀行との提携に活路を求めるが弥縫(びほう)策にすぎず、霧は晴れそうにない。

 「みんな回遊魚のようだった」。ある現役行員が不正融資にのめり込んだ営業現場の実態を明かした。苛烈なノルマを課せられ「融資拡大が止まったら終わり」と思い込んだ。物件を売りたい業者と、買いたい客を抱える業者を自らつなぎ、実績を伸ばした。「銀行が仲介業までするのはやり過ぎ」と主張した行員は閑職に飛ばされ、異論は出なくなった。

 「宝飾品でも何でも必ず売れる」。ある不動産業者はこう豪語した。投資欲や将来不安。客に付け入る隙はいくらでもある。一部の行員は「業者とずぶずぶの関係」と言われた。明らかに羽振りが良くなり、融資実行の見返りに裏で多額の現金をもらっていたとのうわさもくすぶり続けている。

 有国三知男社長は十五日の記者会見で「相応のノウハウを積み上げてきている」と述べ、投資用不動産の融資を今月下旬に再開する方針を表明したが、需要があるかどうか疑問が残る。悪質業者の排除など、まずは営業手法の抜本的な見直しが不可欠だ。

 スルガ銀は新生銀と業務提携で基本合意し、資本提携も視野に入れる。三十年以上トップに君臨した岡野光喜前会長は「吸収されるぐらいなら解散する」と独立経営にこだわったが、有国氏ら現経営陣はこの路線に見切りを付けつつある。ただ、岡野氏ら創業家はスルガ銀の株式の約15%をなお保有し、関係解消は実現していない。

 新生銀は、一九九八年に破綻し一時国有化された日本長期信用銀行が前身だ。業績低迷が続き、公的資金を返済できない中で再建支援に名乗りを上げたことについて、工藤英之社長は「関係ない」と開き直った。消費者金融を含め事業の親和性が高いといえば聞こえはいいが、スルガ銀の信用力の補完につながるとは思えず、業界では冷ややかな見方が多い。

 金融庁はスルガ銀をてこに本格的な地方銀行の再編を模索していたが、有望視したりそなホールディングスやコンコルディア・フィナンシャルグループの腰が引け、もくろみは外れた。「グランドデザインを描けていない」。金融庁幹部には焦りも垣間見える。

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