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【経済】

対決鮮明 ファーウェイ排除 「中国のDNA」試練の時

何度もお忍びで来日したという任正非氏。広東省深センのファーウェイ本社内には、日本から材料を取り寄せ京都の町屋風景を再現した施設も

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 米中の間で輸入品に関税をかけ合うチキンレースの中、トランプ米政権が貿易戦争を有利にすすめるカードとして選んだのが、米市場からの中国通信機器大手ファーウェイ排除の動きだ。同社製品の安全性の問題を通り越し、すでに抜き差しならない米中両大国の覇権争いに巻き込まれた形だ。 (深セン・安藤淳、写真も)

 ファーウェイは通信基地局の世界シェアはトップ、スマートフォンでは二位。昨年の売上高は七千二百十二億元(約十一兆五千億円)に上る。自動運転など先進技術の基盤となる高速大容量の第五世代(5G)移動通信システムでは世界最先端の技術や特許を持つ。

 習近平(しゅうきんぺい)指導部の国家戦略「中国製造2025」の根幹を担う中国の一流企業でもあり、米国が同社に自国の通信網を握られる危機感を抱いたとしてもおかしくない。

 対中追加関税は五月上旬に第三弾の発動を終え、第四弾も発表、中国からの輸入品ほぼすべてが対象となる。手詰まり感が漂う貿易協議で中国に不信感を募らせたトランプ政権が「ファーウェイ排除」の切り札を切ったともいえそうだ。

 これに対し、中国政府は「必要なあらゆる措置を取る」と警告、米企業への報復の可能性も取り沙汰される。ファーウェイの最高経営責任者(CEO)の任正非(にんせいひ)氏も「われわれはぼろぼろになっても山頂に登り相手と相まみえる。引き返すことはしない」と強気だ。一方で、米国による制裁はファーウェイにとって、創業以来の試練といっていい。日本を含めた世界経済にも悪影響を及ぼす。

 世界のハイテク企業と「中国のDNA」を持つ企業の顔を併せ持つファーウェイ。創業から三十年、中国の民間企業として「苦しみしかなかった」と話す任氏の顔に刻まれた深いしわが、米中のはざまで厳しい立場に置かれた苦悩を物語っているようだ。

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◆任正非CEO 一問一答

 ファーウェイの任正非CEO=写真=と日本メディアとの主なやりとりは次の通り。

 −米中貿易戦争の影響は。

 「われわれは法に触れることはしていないので、(米国の安全保障上の脅威となる)証拠が出てこないのだろう。簡単につぶせると思っていたかもしれないが」

 −米国の輸出規制で携帯生産に不可欠な米企業の半導体供給がなくなるが。

 「(米半導体大手)クアルコムから供給してもらう必要はない」

 −米の措置に対し、世界貿易機関に訴えたり、中興通訊(ZTE)のように賠償金を払って経営陣を刷新したり、監視を受け入れたりすることは。

 「米国を提訴するかも含めまだ決まっていない。しかしZTEのやり方は選ばない。国際的仲裁も求めない。なぜならそれには国の力が必要だからだ」

 −今後の業績は。

 「生産に影響はあるが一部に限られる。年間で売上高の伸びは20%を超えないと思う」

 −トランプ米大統領をどう思うか。

 「減税したことは偉大だと思う。しかし、きょうはある国を脅かし、次は違う国を脅かす。投資したら逆に捕まるリスクがある。米国から5G整備で頼まれても行く気はない。企業の投資に大切なのは信用だ」

 −日本については。

 「トヨタ自動車などを退職された方から指導を受け、日本の品質管理を取り入れた。日本に学ぶという心掛けを続けた結果、5Gでは世界が買わなければ仕方がない高品質な製品を作り上げることができた。日本企業と相互補完性があり、競争相手ではない」

 

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