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【経済】

脱石炭火力へ埋まる外堀  環境配慮 3メガ銀融資抑制

仙台港で運転する石炭火力発電所=仙台市宮城野区で

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 三菱UFJフィナンシャル・グループなど国内の三メガバンクが石炭火力発電所への融資を抑制する動きを見せている。温暖化の主因とされる二酸化炭素(CO2)の排出量が多い石炭火力の建設を抑制する機運に対応する。日本政府は今後も石炭火力を安く安定的に発電できる基幹電源と位置づけるが、金融面から「脱石炭」へ見直しを迫られる可能性がある。 (岸本拓也)

 三菱UFJは七月以降、新設の石炭火力へ原則として融資しない方針を掲げ、メガバンクで初めて中止にまで踏み込んだ。すでに計画を進めている案件の融資は続けるが、中長期的に融資残高を減らす。

 三毛兼承(かねつぐ)社長は「環境問題は地球規模の課題だ。解決に貢献していく」と強調。石炭火力への融資を減らす一方で、二〇三〇年度までに再生可能エネルギー発電向け事業などの環境分野に、八兆円を融資する方針も明らかにした。

 三井住友銀行は一八年六月、発電効率の悪い石炭火力に融資しない方針を表明。みずほフィナンシャルグループも今年七月から、同様の方針を取る。

 温暖化被害の回避を目指すパリ協定が一五年に採択され、欧州を中心に脱石炭の機運が高まっている。仏BNPパリバやドイツ銀行など主要行が、石炭火力への新規融資を中止。日本でも、日本生命保険や三井住友信託銀行が新規融資をやめることを決めた。

 ただ、三メガバンクはパリ協定の採択以降も石炭火力への資金提供を継続。米の環境団体レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)の試算では、三メガの石炭火力事業者への融資は一六〜一八年に計七十四億ドル(約八千百億円)に上り、環境団体から「石炭火力の温存に積極的」と批判されていた。

 三菱UFJの新方針について、RANなどの環境団体は声明で「歓迎する」と表明。ただ、「個別に検討し、融資に取り組む場合がある」との一文が、「抜け道」にならないか懸念し、引き続き監視する。

 一方、三菱UFJの方針転換は、日本政府のエネルギー政策に影響する可能性がある。政府は今後も石炭火力を主力に考えているが、すでに石炭火力は環境規制の強化で対策費用がかさんで採算が合わなくなり、国内でも新設計画を断念する企業が相次ぐ。金融機関の融資中止の動きが広がると事業は立ちゆかなくなり、政府も脱石炭を踏まえた計画に見直しを迫られることになる。

<石炭火力発電> 石炭を燃やして作る蒸気でタービンを回して発電する。燃料代が安価で、世界の年間発電量の約4割を占めるが、二酸化炭素の排出量は最新型でも、液化天然ガス(LNG)火力の約2倍。日本では現在、約3割を石炭火力に頼っており、2030年時点では東日本大震災前と同水準の26%とする方針だ。技術開発が進み、極限まで石炭を燃やして高温・高圧でタービンを回すUSC(超々臨界圧発電)や、石炭を高温ガス化してさらに効率を高めたIGCC(石炭ガス化複合発電)が実用化されている。

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