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【経済】

<原発のない国へ ドイツ最前線報告> (下)再エネ発展の拠点へ

塩の化学反応を生かして電力を貯蔵する設備。大手電力バッテンフォールが実証実験を始めた=伊藤弘喜撮影

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 「私たちが開発した蓄電技術を使えば再生可能エネルギーを無駄なく活用できます」。ドイツの首都ベルリン北西部の川沿い。第二次大戦前から操業する古びた石炭火力発電所。その一角にある、ぴかぴかの銀色のタンクを見上げ、大手電力バッテンフォール(本社・スウェーデン)のマーカス・ビットさんが言った。

 同社が新興企業ソルト・エックスと組んで実証実験する、「塩」を使ったユニークな電池技術だ。塩の一種である酸化カルシウムという物質に水を加えると発熱する化学反応を応用した。風がよく吹いて風力発電の出力が大幅に伸びる場合、余った電気で塩水を急速に蒸発させて塩と水に分離して置いておく。後で好きな時に塩と水を混ぜ合わすと高熱が発生、タービンが回り発電できる仕掛けだ。

 いま、ドイツ国内の大手電力会社は再エネ技術に追いつこうと必死だ。新興企業の手を借りることもいとわない。

 背景には再エネ拡大に遅れた大手電力の危機感がある。バッテンフォールは昨年の総発電量のうち原発が42%で最も多く、石炭火力も24%。水力を除く再エネは6%にしかすぎない。

 ドイツ政府は二〇二二年には原発の全廃を予定しており、石炭火力からも三八年には撤退する方針だ。このままでは同社のドイツでの発電事業は破綻に瀕(ひん)するのは確実で、生き残りは時間との闘い。かつての八社はすでに四社に集約され再編も進行する。

 「ドイツの大手各社は原発と石炭に依存し続け、再エネが世界的に拡大する潮流を完全に見誤った。従業員削減など大規模なリストラがさらに続く」。エネルギー専門金融会社アレクサ・キャピタルのジェラルド・リードさんはいう。

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 旧来企業のリストラは地域経済には打撃。だが、ドイツはエネルギー産業に新たな血を入れることで経済を引っ張る戦略産業に育てようとしている。

 「これからはウガンダからドイツに頻繁に来ることになりそう」。四月九日夜、ベルリン市内で開催された「エネルギー転換賞」の表彰式。賞を受けたウガンダのベンチャー企業、ボーダベルケの幹部らは破顔一笑した。

 アフリカの多くの国ではバイクが主な交通手段。同社は大気を汚染しない電動バイクの普及を目指し、バッテリーを低価格でレンタルする事業に取り組んでいる。

 エネルギー転換賞は、ドイツの政府系機関・エネルギー機構が二年前から開催しているエネルギー系ベンチャー企業の大規模交流イベントの目玉だ。今年は欧州、アフリカなど八十カ国からベンチャー企業四百五十社が応募した。イベントには各国から投資家も招かれ、企業との橋渡しが行われた。

 ドイツが交流会や賞金を設ける背景には、米国西海岸のシリコンバレーに世界のIT人材や投資家が集まるように、ドイツを世界の再エネビジネスの交流基地として発展させる狙いがのぞく。

 表彰式を司会したエネルギー機構のアンドレアス・クルマン代表は「新鮮で多様なアイデアが集まることで、世界のエネルギー転換と温暖化対策を前進させることができるのです」と熱弁を振るった。 (伊藤弘喜)

電動バイク向けビジネスで表彰されたウガンダのベンチャー企業「ボーダベルケ」の幹部ら=独エネルギー機構提供、いずれもベルリンで

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