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【経済】

仏政府「口出し」の果てに 巨大統合・再編 突然の幕切れ

記者団の取材に応じる日産の西川広人社長=6日夜、東京都内で

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 欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とフランス大手ルノーが、経営統合で巨大自動車グループをつくり上げる再編劇は、あっけない幕切れとなった。だが電気自動車(EV)や自動運転など新技術開発は激しくなるばかり。ルノーの経営に影響力を持つフランス政府からの「口出し」は緩まる気配がない。

 「採決の延期を」。五日深夜まで続いたルノー取締役会。フランス政府側の取締役の要求が、FCAの提案を受け入れる方向で進んでいた議論の流れを変えた。

 企業連合を組む日産自動車が統合後の新会社に参画することが不可欠というのがフランス政府の立場だった。しかし日産が送り込んだ取締役二人は、この段階で支持を表明しなかった。

 欧州メディアによると、フランス政府が採決延期を求めたのは、ルメール経済・財務相が週末に二十カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で日本を訪問するのに合わせて、日本側の関係者と協議する時間が必要だったためという。

 FCAは統合後の会社への取締役受け入れなどフランス政府側からの度重なる要求に譲歩を重ねてきただけに、決定延期に「うんざりしたようだった」(ルノー関係者)。

 FCAとルノーは日本やドイツの大手と比べて企業規模が劣るため、今後も再編相手を模索することになりそうだ。 (共同)

◆日産 前向き一転 不信感

 日産の支持が得られなかった理由は何か。

 日産の西川(さいかわ)広人社長は三日時点で、統合が実現した場合、企業連合を組むルノーとの関係を見直すとの声明を発表した。それまではビジネスチャンスが広がる可能性があるとして「統合は非常にポジティブ」などと好意的な発言をしていたが姿勢を大きく転換した。

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 トーンダウンの理由について、日産幹部は「ルノーやFCAの思惑が読めない。統合が日産にとって本当にメリットがあるか見きわめる必要がある」と説明した。一連の統合交渉について、直前に日産に連絡はなく不意打ちを食った格好になったという。

 現地の報道によると、統合会社の取締役を、ルノーの筆頭株主であるフランス政府から受け入れる案も検討されたが、こうした情報も事前に提供されず、不信感を強めた。

 日産は、ルノーとの間でくすぶる統合問題でもフランス政府の干渉を警戒してきた。ルノー、FCAの統合会社でフランス政府が影響力を持てば、日産との統合問題でも圧力が強まる懸念があった。別の幹部は「西川さんの声明はルノーへのけん制だ」と推測した。

 こうした日産の姿勢に応えるように、フランスのルメール経済・財務相は五日、日本メディアとの会見でルノーとFCAの統合には「日産の支持が必要だ」と述べていた。欧州では世界最高レベルの燃費規制が敷かれ、メーカー各社は電動化が喫緊の課題。こうした先進技術は日産が先行しており、ルノーやFCAには、日産の協力が不可欠だった。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版はFCAが統合を撤回した要因として、日産が派遣したルノー取締役が統合協議についての採決を保留したことで、統合しても日産の協力が得られなくなると判断したと報じた。

 西川氏は六日夜、都内で記者団に「パートナーだったルノーが(統合すれば)別の会社になる。日産への影響を確認しなければいけないと思っていた。誰でも慎重になる」と話した。保留の判断については「日産として、少し勉強して評価する時間を下さいということ」と説明した。 (森本智之)

 

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