東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

<メディアと世界>米新聞業界「公平な分配を」 議会が調査開始 集団交渉を要求

 【ワシントン=白石亘】米議会は十一日、グーグルなどの巨大IT企業が反トラスト法(独占禁止法)に違反していないか調査をスタートさせた。手始めにメディア業界に関する公聴会を下院反トラスト小委員会が開催。メディア側は広告収入の公平な分配を求めて、大手IT企業との集団交渉を要求した。

 「ニュースの市場は壊れている。残念ながら、われわれのコンテンツにタダ乗りするプラットフォーマーに不当な分け前が流れている」。公聴会で米紙ウォールストリート・ジャーナルの運営会社の代表者は、ニュース制作者が正当な対価を得られていない現状を嘆いた。

 現在、米国人の93%はオンライン経由で少なくとも何らかのニュースを入手している。このため報道機関とニュースの受け手とをつなぐグーグルやフェイスブックといったインターネットの基盤となるサービスを提供する「プラットフォーマー」と呼ばれる企業の存在感が強まっている。

 IT企業がニュースから広告収入を得る方法は主に二つある。一つはニュースを転載したホームページの広告。もう一つは報道機関が自社サイトに広告を載せる際に、IT企業の独自技術を使うことで生じる手数料だ。

 米ネット広告市場はグーグルとフェイスブックの二社が六割のシェアを握る状態で、この二社は米国だけで昨年、六百億ドル(約六兆五千億円)超の広告収入を得た。一方、米新聞業界の広告収入は二〇〇六年の四百九十億ドル(約五兆三千億円)から、一七年に百五十六億ドル(約一兆七千億円)と三分の一に落ち込んだ。

 一方で、伝統的な米国の新聞社は広告収入が売り上げ全体の八割を占める構造。米地方紙の廃業は相次ぎ、過去十五年で全体の二割に相当する千八百の新聞が廃刊になった。反トラスト小委員会のシシリン小委員長は「ローカルジャーナリズムは絶滅の危機にひんしている。自由で多様な報道がなければ、民主主義は成り立たない」と懸念する。

 このためメディア業界は広告収入の配分を巡り、現在は独禁法で禁じられている集団での交渉を認めるよう求めている。

 IT業界側は「報道機関同士の競争が減り、読者にとって選択肢が少なくなる」と反対しており、議会が独禁法の適用を一時的に免除するかが焦点となっている。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報