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【経済】

資産1割 30年度に認知症患者保有 金融機関 高齢客対応の団体

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 認知機能が衰えた高齢者がお金をどう扱えばよいかが、課題になっている。今月に福岡市で開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議でも、詐欺などの被害を招いて高齢期の生活を脅かしかねないとの認識を各国が共有した。日本の金融界も認知症を抱えた顧客への対応を検討する団体を大学などと設立し、高齢者向け顧客対応の資格制度も始める。 (岸本拓也、渥美龍太)

 今月都内であったシンポジウムで、経済協力開発機構(OECD)のアンヘル・グリア事務総長は「世界の高齢化のスピードは弾丸のようだ。長生きするほど高まる金融ニーズへの対応が必要だ」と述べ、高齢化と金融の問題をG20で議論する意義を強調した。

 第一生命経済研究所の星野卓也氏の推計によると、国内の認知症の患者が金融資産を保有する額は二〇一五年度末に百二十七兆円で、家計全体に占める比率は7・2%。それが三〇年度末には、二百十五兆円と10・4%に上ると見込む。

 認知能力が落ちれば、個人で金融商品を選んだり管理したりするのも難しくなる。三菱UFJ信託銀行や野村ホールディングス、慶応大学が中心になって今年四月、顧客に適切な助言や提案をする人材の育成を目指す団体を設立した。

 長寿化の影響を経済学や医学、心理学など幅広い視点から分析する「老年学(ジェロントロジー)」を活用するため、「日本金融ジェロントロジー協会」と命名。金融機関十四社の会員向けに、老年学を取り入れた高齢顧客対応の研修を十月に開始し、二一年度をめどに資格制度も設ける。

 これまで、日本では高齢者に対し、投資信託の売り買いを不十分な説明で頻繁に勧めて手数料を稼ぐ「回転売買」の横行など、顧客軽視の姿勢が問題視されてきた。客の認知機能の衰えにつけ込み、金融機関が無理な販売に走るのを抑止できるかが、協会としての課題になる。

 今月の初会合では顧問の駒村康平慶応大教授が「倫理も重要な問題だ。高齢者の心理を金融機関の利益のために利用してはならない」とくぎを刺した。

 

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