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【経済】

電動車いす 伸びてます 免許返納者が乗り換え 

高齢者事故が相次ぐ中、注目されるスズキの「セニアカー」

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 十九日で発生から三カ月を迎える東京・池袋の母子死亡事故など相次ぐ高齢者の事故を受け、運転免許証を必要としないシニア向け電動車いすの販売が伸びている。車の運転をやめる高齢者が乗り換えているとみられる。日常生活の移動を支える乗り物のニーズが今後も高まるのは必至で、自動車メーカーによる新製品の開発競争も激しくなっている。 (山田晃史、森本智之)

■来店

 「五月の大型連休明けから全国で来店が増えた」

 電動車いすの「セニアカー」を販売し、国内シェア五割を誇るスズキの田沢充康電動車いす課長は話す。

 電動車いすのスピードは最高でも早歩き程度の時速六キロで、歩道を走行できフル充電で二十〜三十キロ走る。四月に起きた池袋の事故の影響からか、五〜六月の販売台数は前年同期に比べて一割増と急伸した。田沢課長は「問い合わせはそれ以上に増えている。七月に入っても受注ペースは上がっている」と語る。

 ただ、免許がいらないとはいえ、過去には電動車いすが絡む事故も起きている。スズキでは原則的に購入前に試乗してもらい、安全運転の冊子を配るなど啓発に努めている。

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■小型

 業界団体の電動車いす安全普及協会によると、右肩下がりだった出荷台数は二〇一三年度を底に増加に転じ、一八年度は一万八千七百六十三台まで回復した。

 下支えしているとみられるのが、年々増加する免許の自主返納者だ。警察庁によると、一八年は四十二万人余で十年前の八倍。モータリゼーションが進んだ一九六〇年代に免許を取得した世代が七十〜八十代になり、次の乗り物を必要としている。

 世界で初めて電動アシスト自転車を商品化したヤマハ発動機でも、高齢者に人気がある小型モデルの年間販売台数は発売から四年で三倍になるなど大ヒット。四月の事故以降、問い合わせも増えている。

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■デザイン

 一方、高齢化の進展を見据え、これまでになかった新しい乗り物も発表されている。トヨタが来年発売する超小型電気自動車(EV)は免許が必要だが、軽自動車より小さい二人乗り。運転しやすく最高速度は六十キロに制限されている。

 ホンダが開発中の三輪のEVはスポーティーなデザインにこだわっている。これまでの電動車いすは「お年寄りのイメージが強すぎる」と嫌がる高齢者が多いためだ。本田技術研究所の伊藤裕直常務取締役は「若者からも乗ってみたいという声が上がっている」と手応えを感じている。

 それぞれに共通するのは、電動でコンパクト、短距離移動を想定している点だ。短距離用と割り切ることで、技術的なハードルが下がり各社が参入しやすくなっている。

 国もこうした乗り物の普及を支援する考えだ。経済産業省自動車課の担当者は「高齢者に多様な移動の選択肢を提供することが大事。必要があれば購入補助金の導入も検討する」としている。

ホンダが開発中の三輪のEV

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