東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 8月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

日本郵便不備 アフラックがん保険 二重払い・無保険10万件

 日本郵便がアフラック生命保険から委託され販売するがん保険を巡り、保険料の二重払いや無保険状態の契約が、二〇一八年五月〜一九年五月で少なくとも約十万件に上ることが分かった。いずれも旧保険から新しい保険に乗り換え契約する際に発生し、日本郵便側の制度上の不備が原因。日本郵便は十月から改善するための制度を導入する方針だが、現在も二重払いや無保険状態になる仕組みを残したまま販売を続けている。

 西日本新聞がアフラック社が日本郵便に提出した内部資料を入手し、問題が発覚した。

 アフラック社のがん保険はがん罹患(りかん)者の加入を防ぐため、加入後三カ月間は保障が受けられない。このため乗り換え契約の際、三カ月間、新旧の保険料を二重払いするか、無保険状態になるかを選ぶことになる。

 同社は一四年、乗り換え時に新規契約分の保険料を支払うだけで済む「条件付き解約制度」を導入。郵便局以外の代理店では適用されることになった。

 同社によると、条件付き解約制度を導入した一四年以降、日本郵便との間で開く「提携推進会議」で、制度の導入を繰り返し提案。昨年四月に新商品を発売してからは乗り換え契約が急増したため、同六月以降は、日本郵便の販売で発生した二重払いと無保険の契約件数を提示した上で、早急に対策を講じるよう促していたという。

 アフラック社が今年六月二十五日の提携推進会議に提出した内部資料によると、一八年五月〜一九年五月の乗り換え契約は未集計分を除き約十万四千件。内訳として、三カ月間無保険状態だった契約が約四万件▽三〜五カ月間、保険料を二重払いした契約が約三万三千件▽新しい保険に乗り換えてから一〜二カ月後に旧保険を解約し、二重払いと無保険がともに発生した契約が約三万件−だった。

 日本郵便は同紙の取材に対し、アフラック社から制度導入の打診を受けてきたことを認めた上で「一四年度当時は既契約の切り替えは少数で、新しい商品を案内するのが中心だった」「一八年四月の新商品発売後に保障を最新化するための解約・新規(乗換)のニーズがあることを認識し、アフラック社と条件付き解約手続きの導入を検討し、準備を進めてきた。帳票やシステム対応等の調整を踏まえ、一九年十月の取扱開始となった」と文書で回答した。

 かんぽ生命保険を巡る一連の不正販売問題を受け、日本郵便はほとんどの保険商品の営業を自粛しているが、アフラック社のがん保険の営業は継続している。

      ◇

 かんぽ生命保険の不正販売では、顧客の不利益となる疑いがある契約が過去五年で約十八万三千件あったことが判明している。

◆「お客様本位」形骸化

<東京国際大の田尻嗣夫名誉教授(金融論)の話> 日本郵政グループにとって、かんぽ生命保険の保有契約件数が減少する中、アフラック社の商品は重要な収益源になっている。昨年四月に新商品が発売されたことで乗り換え契約が急増するのは容易に予想できたはずだ。日本郵政が掲げる「お客さま本位」という言葉が、形骸化していたと言わざるを得ない。

<アフラックがん保険の委託販売> 日本郵政グループは2008年から300局の郵便局でアフラック生命保険のがん保険の委託販売を始め、15年からは全国約2万局に拡大した。国内での新規契約のうち、郵便局での販売が約4分の1を占めている。日本郵政は昨年12月、親会社のアフラック・インコーポレーテッド(米国)に2700億円規模の出資をすると発表。今後はグループ会社化して新商品の共同開発などに取り組む。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報