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【経済】

<消費税8%から10%>税負担 実際?% 店や決済方法で5段階変化 消費者混乱必至

 十月の消費税増税に伴い、消費者が負担する税率は現在の8%のみから、3、5、6、8、10%の五種類に増える。軽減税率の導入で法律上の税率が二つに分かれる上、来年六月末までの時限措置で実施されるキャッシュレス決済のポイント還元制度の還元率が三種類あるからだ。単一の税率で国民に広く薄く負担を求めてきた消費税の理念はゆがみ、入った店や決済手段によって負担率が変わる複雑な仕組みに、専門家は「消費者の混乱は必至」などと批判している。 (大島宏一郎、嶋村光希子)

 10%に引き上げるのに伴い、政府は初めて「軽減税率」を導入。飲食料品などは8%に据え置き、税率が二つになる。生活に欠かせない食品などに単一の税率をかけると、収入の低い人ほど負担割合が高まる「逆進性」に配慮した。

 ただし、飲食料品でも外食は税率は10%。持ち帰れば税率8%の弁当なども、店内で食べると10%だ。

 さらに複雑なのが、クレジットカードなど現金以外で支払う「キャッシュレス決済」を利用する場合だ。政府が来年六月末までの九カ月限定で導入するポイント還元制度により「戻ってくる消費税」の割合は、店舗によって0%、2%、5%の三種類。二つに分かれた消費税率と合わせると、負担割合は五通りにも膨らむ。

 例えば、小さな商店でハンバーガーをカードで買って持ち帰る場合、消費税率は8%で、5%分のポイント還元も受けられるため税負担は3%。一方、大きなスーパーで買って店内の飲食コーナーで食べれば、軽減税率もポイント還元もなく10%になる。最大7ポイントもの差が生まれ、均等な負担を求めてきた消費税の理念はゆがむ。

 消費者が店で手に取った商品の税負担はすぐには分からない。東京都品川区のスーパーで買い物をしていた近所のパートの国分富江さん(75)は「たくさん税率があるのは面倒。(店も混乱し)レジに行列ができそう」と困惑する。

 店側にも不満が募る。ポイント還元制度に参加できない大手スーパーは、同じ商品でも値段が安くなる中小商店やコンビニに客を奪われる可能性がある。全国のスーパーなどが加盟する日本チェーンストア協会の井上淳専務理事は「ポイント還元は不公平」と述べた。

 財務省出身で東京財団政策研究所の森信茂樹・研究主幹は「消費の喚起やキャッシュレス決済の普及など、異なる目的の政策を無理に組み合わせたため複雑になっている」と指摘する。

 消費生活アドバイザーの辰巳菊子さんは「商品の値段が分かりにくくなり、消費者の混乱は避けられない」としたうえで「キャッシュレス決済を利用するか否かで負担に差が生まれ、税の公平性にもそぐわない」と批判した。

<ポイント還元制度> 電子マネーやクレジットカードなど現金以外で買い物をすると、現金の代わりに使えるポイントが客に戻る仕組み。10月から来年6月末まで9カ月の時限措置。中小店舗の支援も兼ね、還元率は中小店舗で5%、コンビニやファストフード店など個人が大手チェーンの看板を借りて営業する「フランチャイズ(FC)」店で2%、大手スーパーなど大規模店は還元なしと差をつけた。

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