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【経済】

米中 関税の報復、譲らず トランプ氏、景気減速にいらだち

 【ワシントン=白石亘】トランプ米大統領は二十三日、中国からのほぼ全ての輸入品に当たる五千五百億ドル(約五十八兆円)相当に、5%の追加関税を上乗せすると発表した。中国政府が同日、対中関税の第四弾への報復として七百五十億ドル(約八兆円)相当の米国製品に九月以降、最大10%の追加関税を順次発動すると発表したことを受けた措置。米中の関税合戦は報復に報復を重ねる泥沼状態に入っている。

 中国商務省は二十四日、米側の追加関税措置に対し「正常な国際貿易秩序を破壊するものだ。全ての結果責任は米国が負うことになる」と非難した。

 米側の報復関税は、既に発動している対中関税の第一弾〜第三弾の計二千五百億ドル相当への25%の追加関税を、十月一日から30%に引き上げる内容。また九月一日以降に発動する三千億ドル相当の対中関税の第四弾に関しても、税率を当初予定の10%から15%に引き上げる。

◆中国は持久戦の構え

 米中の関税合戦が泥沼化している。中国の報復関税に対抗し、トランプ大統領はほぼ全ての中国製品に5%の追加関税を上乗せすると表明。強気の姿勢を崩さないトランプ氏だが、持久戦の構えで一歩も引かない中国を相手に手詰まり感も漂う。 (ワシントン・白石亘、北京・坪井千隼)

 ■撤退命令

 「われわれは中国を必要としない。偉大な米国企業に、生産拠点を米国に戻すことを含め中国に取って代わるものをすぐに探すよう命じる」。トランプ氏は中国が報復関税を発表した二十三日、怒りのツイートを連投。中国からの「撤退命令」にまで踏み込んだ。

 もちろん、大統領といえども中国でのビジネスを禁止する権限はない。産業界からは「非現実的」(全米小売業協会)と批判の声が上がった。米ブルームバーグ通信は「トランプ氏は米中経済を切り離すべきだとの対中強硬派の要求を受け入れつつある」と指摘した。

 ■習氏は「敵」

 微妙な変化は、中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主席の呼び方にも表れた。これまで習氏を「友人」と持ち上げてきたが、「米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長と習氏のどちらがより手ごわい敵だろうか」とツイート。間接的な表現ながら、初めて習氏を敵と位置付けた。

 背景には中国との協議が思うように進展しないまま景気が減速しつつあるいら立ちがある。関税合戦が長引き、先行きが読めない企業は設備投資を先送り。トランプ氏が重視する株価も米中摩擦の激化を受けた二十三日、ダウ工業株三十種平均が前日比六〇〇ドル超下げた。中国からの譲歩を狙い強硬策を繰り出すと景気や株価に水を差し、来年の大統領選再選を左右しかねないジレンマがある。

 ■一歩も引かず

 こうした構図を見透かすかのように、中国は持久戦の構えを強めている。二十三日に米国への報復関税を発表した中国国務院(政府)関税税則委員会は声明で、「米国は中国だけでなく世界の利益を損ない、自由貿易体制を脅かしている」と非難。一歩も引かない姿勢を強調した。

 関税合戦は中国経済にも深刻な影響を及ぼしている。だが米中協議で焦点となった、中国の国有企業への補助金や知的財産権を巡る問題については、中国側は「主権の問題だ」として譲歩する気配はない。

 中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は二十四日の社説で「中米貿易戦争は消耗戦になった」と述べた上で、「米国によって中国の発展が邪魔されることはない。私たちは、米国が政策の誤りを認めるのを我慢強く待つべきだ」と長期化に備える姿勢を強調した。

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