東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から > 9月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

8%、10% おせちも混在 令和の正月商戦に消費増税余波

越前塗の重箱を使用しているため、軽減税率(8%)が適用されないおせち=いずれも東京都内で(木口慎子撮影)

写真

 令和初めてのお正月を祝うおせち商戦が、消費税増税に伴い導入される複雑な軽減税率で混乱している。大手百貨店は2日、相次いで2020年用の商品を発表。高価な容器に入った一部のおせちでは、食品には軽減税率の8%が適用されるにもかかわらず10%となる場合があり、販売員や消費者から戸惑いの声が聞かれた。 (嶋村光希子)

 松屋銀座が二日に東京・銀座で開いた発表会では、高級ホテル「ザ・ペニンシュラ東京」が手がける黒と赤、二色の重箱が並んだ。いずれも三段のお重の中に、アワビやズワイガニといった豪華でおめでたい食材がずらり。黒いプラスチック製の重箱に入った商品は、税込み四万八千六百円で税率8%。一方、福井県の伝統的な漆器「越前塗」の赤い重箱に入った商品は中身もより高級で、税込み十六万五千円で税率10%だ。

 国税庁によると、容器を使い捨てではなく、食器などとして繰り返し使うことを想定して販売すると、食品とそれ以外の品物を一緒に販売する「一体資産」となり、原則10%になる。赤い重箱は高価で、今後も家庭で使い回せることを見越して10%となった。

軽減税率で高級料理が食べられることを売りにしたおせち

写真

 松屋銀座が取り扱う約二百点のうち大半は8%で、有名ホテルや料亭の味が10%の外食価格よりもお得に味わえるとアピールする。ただ、10%のおせちも三点あり、担当者は税率の混在を「難しいですよね」とこぼした。同店の地下で買い物していた東京都港区の主婦服部友紀子さんは、黒と赤のおせちの税率の違いに「どう違うか見分けがつかない」と驚いた様子で、「越前塗だからなどと、対面で説明してもらわないと分からない。買う人もお店の人も混乱しそう」と話した。

 高島屋では、約千百五十点のうち、10%のおせちは二点のみ。日本料理「なだ万」のおせちはお重が陶器の有田焼でできている。人気キャラクター「ミニオン」の通販限定のおせちは、ノベルティーの保冷バッグが付いている。担当者は「お客さまに迷惑をかけないよう店頭で丁寧に説明していきたい」と話し、従業員教育を徹底する予定だ。

保冷バッグの付いた人気キャラクター「ミニオン」のおせちは軽減税率が適用されず10%

写真

◆福袋なども条件で左右

 家で食べる食品なのに、軽減税率の適用が条件で左右されるのは、おせち料理だけではない。ケーキと洋食器のセット、食品と食品以外が同じ袋に入る福袋なども、同じような扱いとなる。食品と食品以外が一つの資産「一体資産」を形作っているとみなせるからだ。

 国税庁によると、一体資産の税率は原則、10%。だが、全体が一万円以下の一体資産で、食品の部分の占める割合が三分の二以上の場合は税率8%になる例外も。三分の二以上とは「事業者が合理的な方法で計算」と定められており、さまざまな計算の方法がある。また、似たような事例であっても一体資産とみなされないケースも。例えば、消費者が五千円で食品と食品以外の雑貨などを自由に複数選べる「よりどりセール」の時などだ。自由に商品を選べると国税庁は一体資産とみなさず、持ち帰った場合、食品が8%、それ以外に10%がそれぞれ適用される。

 食品以外の部分が非売品というケースもあり得る。例えば、ファストフード店のハンバーガーとドリンクとおもちゃのセットを持ち帰る場合、おもちゃが非売品なら食品以外の部分をゼロ円とみなし、全体が8%の適用になる。

 国税庁は軽減税率の「線引き」についてQ&A方式の事例集を作ってホームページで公開しており、この一体資産の関連も十三例を掲載している。 (渥美龍太)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報