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【経済】

ヤフーがZOZO買収「3強」へ ネット通販「国内ナンバーワン射程」

記者会見で握手する(左から)ヤフーの川辺健太郎社長、ZOZO(ゾゾ)の沢田宏太郎社長、前沢友作前社長=12日、東京都内のホテルで

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 IT大手ヤフーは十二日、インターネット衣料通販大手ZOZO(ゾゾ)を買収すると発表した。株式公開買い付け(TOB)で子会社化する。買収費用は約四千億円。ヤフーはネット通販事業を成長の柱と位置付けており、先行する米アマゾン・コムや楽天に対抗する。ゾゾの創業者の前沢友作社長は同日付で辞任し、今後は月旅行や新たな起業に取り組む。

 ヤフーは十月上旬にもTOBを実施し50・1%のゾゾ株の取得を目指す。現在約37%の株式を保有する前沢氏はTOBに賛同し、約30%分を手放す。ゾゾはTOB成立後も上場を維持する。前沢氏の後任には沢田宏太郎取締役が昇格した。

 両社によると、提携協議は前沢氏が、ソフトバンクグループの孫正義社長兼会長に相談して始まった。同グループ傘下のヤフーが今秋に始める新たなネット通販サイト「ペイペイモール」と、ゾゾが運営する衣料通販サイト「ゾゾタウン」との連携などに向けて議論を重ねてきた。

 ヤフーは近年、ネット通販事業の強化に取り組んでいる。「ゾゾタウン」の顧客は若者層が多い。中高年の顧客層が中心のヤフーのネット通販事業と相乗効果が高いと判断した。

 東京都内で記者会見したヤフーの川辺健太郎社長は「補完的に顧客基盤の拡大が見込め、相乗効果でEコマース(電子商取引)の国内ナンバーワンが射程に入る」と強調。ゾゾの沢田新社長は「今後はトップダウン経営から組織の力を生かす経営に移行し、成長の安定を図る」と話した。

 同席した前沢氏は「個人的に宇宙にどうしても行きたい。準備や訓練に時間を割くことが多くなるので辞任した」と述べた。

◆アマゾン・楽天 追いかけ 顧客拡大 衣料に活路

 ヤフーがゾゾの買収に踏み切った。Eコマース(電子商取引)の強化を進めているヤフーと、衣料で強みを持ちながら成長に陰りが見えるゾゾとの間で、新たな顧客層拡大に向けた思惑が一致した。ゾゾのヤフー傘下入りで、国内のネット通販業界は米アマゾン・コムと楽天との「三強時代」に突入する。

 「両社は提携によって取扱高や営業利益は爆増する。二〇二〇年代前半には国内ナンバーワンに手が届くのではないか」

 ヤフーの川辺健太郎社長は十二日、東京都内で開いた記者会見で、提携の意義をこう強調した。

 ネット検索やニュース配信などを通じた広告事業を軸にしてきたヤフーは一三年十月に「Eコマース革命」を掲げ、ネット通販事業の強化に乗り出した。通販サイト「ヤフーショッピング」の出店費用を無料にするなど、品ぞろえを増やして利用者を拡大。一九年三月期の取扱高は約二兆三千四百億円と、この五年で四割近く伸ばした。

 それでも先行する楽天やアマゾンには届かず、主力のオークションサイト「ヤフオク!」(取扱高約八千八百億円)も、急成長するフリーマーケットアプリのメルカリ(同約四千九百億円)など新興勢力に年々迫られつつある。

 一方のゾゾは衣料品のネット通販サイト「ゾゾタウン」で高成長を続けてきたが、独自の採寸スーツを使った自社ブランド商品が不発で、一九年三月期の純利益は一九九八年の設立以来初の減益となった。割引サービスのあり方を巡り、出店する有名ブランドが反発して撤退が相次いだ。

 両社が立て直しに動く中、若年層向けファッション分野に強いゾゾと、ソフトバンクグループとして携帯電話や金融サービスとも関わりの深いヤフーは提携の利点が大きく、急接近。ソフトバンクグループの孫正義社長兼会長の橋渡しもあり、数カ月で資本提携まで至った。

 ただ、ヤフーはEコマース事業の強化を図る中で、子会社のオフィス用品大手アスクルとの間でのネット通販事業を巡り対立するなど、性急な動きもみられる。複数のネット通販サイトを抱えており、ゾゾ買収後はグループ内の効率的な事業再編が課題となりそうだ。 (岸本拓也)

◆来月に社名変更

<ヤフー> 1996年設立のIT大手。知名度が高いポータルサイトを中心に通販やオークションなどのインターネット関連事業を幅広く手掛ける。通信大手ソフトバンクの連結子会社で今年10月からヤフー自体も持ち株会社体制に移行し「Zホールディングス」に社名変更する予定。2019年3月期の連結売上高は9547億円、純利益は786億円。通販取扱高は約2兆3000億円。単体の従業員は3月末時点で約6500人。

◆前沢社長は退任

<ZOZO(ゾゾ)> 国内最大規模のファッション通販サイト「ゾゾタウン」を運営する。12日付で社長を退任した前沢友作氏が1998年に設立し、昨年10月に「スタートトゥデイ」から「ZOZO」に社名変更した。

 2019年3月期連結決算は、売上高が1184億円、純利益が159億円だった。通販取扱高は約3000億円。単体の従業員数は、3月末時点で約550人。本社は千葉市。

 

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