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【経済】

日米貿易協定 トランプ流の圧力に譲歩

<解説> 日米貿易協定は、米国離脱前のTPPで合意していた日本車や自動車部品の関税撤廃を見送り、米国の主要な農産物の関税をただちにTPP並みに下げる片務的な内容になった。日本の基幹産業である自動車へ25%の追加関税をかけるという米側の脅しが効果的に働いた結果となり、自由貿易体制に与える悪影響も大きい。

 米側が持ち出す追加関税は、「他国からの自動車の輸入が増えれば米企業が弱体化し、安全保障上の脅威となる」という理屈に基づく。議会の承認が不要で大統領権限で発動できる。

 今年一月発効の米韓新自由貿易協定(FTA)の交渉の際にも、米国は同じ理屈で鉄鋼・アルミ製品に追加関税をかけると脅し、有利に妥結させた。米国の貿易赤字の解消を第一に掲げ、保護主義的傾向を強めるトランプ米大統領の「得意技」で、日本は同じ手法に防戦を余儀なくされた。

 米国から実際に鉄鋼・アルミに追加関税をかけられた欧州連合(EU)やカナダ、中国などがそろって世界貿易機関(WTO)へ提訴したように、米国のこのやり方は自由貿易の基本ルールに反する疑いが濃い。

 日本側は追加関税を課さない確約を米側から得たことを「成果」とするが、実態は逆である。全体の利益を重視する多国間交渉ならば通用しない理屈を、政治力が物を言う二国間交渉に持ち込んで交渉カードにする。そうしたトランプ流外交が有効であることを、「自由貿易の旗手」(安倍晋三首相)を自任する日本が示してしまった格好だ。

 トランプ氏は「包括的な合意に向けて交渉を続ける」と意欲を見せる。自由貿易軽視の姿勢を隠さないトランプ氏とどう向き合うか、日本の対応を国際社会が注視している。 (皆川剛)

 

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