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【経済】

本紙連載「働き方改革の死角」に貧困ジャーナリズム賞

 貧困問題について優れた報道を表彰している市民団体「反貧困ネットワーク」(代表世話人・宇都宮健児元日本弁護士連合会会長)は二十八日、今年の貧困ジャーナリズム大賞を発表し東京都内で授賞式を開いた。政府が進める働き方改革の裏で置き去りにされた問題を報道している東京新聞(中日新聞東京本社)の連載「働き方改革の死角」に取り組む経済部取材班(代表・池尾伸一)に貧困ジャーナリズム賞を贈った。

 「改革のからくりを働き手の貧困と関連づけて報道した点が出色」と評価した。一連の記事は今年三月から東京新聞の一面を中心に掲載、多くは中日新聞でも掲載されている。政府がフリーランスや個人事業主の働き方を奨励しながら、保護策を用意していない問題などを報道。パソナが派遣労働者に通勤交通費の支給を開始する一方で、時給を引き下げたことも独自に報じ、厚生労働省は国会で改善策の指導を約束した。

 大賞にはろう学校の子どもたちを描いたETV特集を制作したNHKの長嶋愛氏と村井晶子氏、ハンセン病患者と家族を描いたRSK山陽放送の米沢秀敏氏らが選ばれた。

◆「貧困招く働き方、多角的に連載」 授賞式、本紙に評価

「貧困ジャーナリズム賞」を受賞した本紙経済部の池尾伸一記者(右)=28日午後、東京都文京区で

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 「貧困ジャーナリズム大賞」の授賞式で、選考に携わった反貧困ネットワークアドバイザーの労働運動家河添誠氏は、本紙経済部取材班による「働き方改革の死角」の報道について「働き方改革の陰で進む貧困を招くような働き方の進行を一面で連載し、多角的に取り上げた」と述べた。

 表彰された取材班代表の池尾伸一記者は「政府の働き方改革は取材すればするほど、抜け穴が多く、経済界の都合ばかり優先されていることが分かってきた。日本経済にとっても働く人たちの人生にとっても一番大切なはずの『働く喜び』が損なわれており、今後も改革から取り残された問題に目をこらし粘り強く報道していきたい」と述べた。

 本年度は政府の働き方改革関連法が施行されたほか、外国人を労働力として受け入れる特定技能制度も始まり、パワハラ・セクハラの防止法も国会で成立した。職場や働き方を巡るルールが一斉に変わる中で、「働き方改革の死角」は、政府が主張するように働きやすい職場が実現するのか、検証しようとスタートした。人手不足が進行する中、政府は副業や高齢者雇用を推進する方針。一方で経済界は「終身雇用は維持できない」と主張し、働き方を巡る状況は一段と不安定になる可能性がある。連載では、さらに広い角度からの報道を続ける予定だ。

◆本紙経済部取材班

 池尾伸一、久原穏(編集委員)、池井戸聡、吉田通夫、渥美龍太、矢野修平、岸本拓也、木村留美(現名古屋社会部)

◆受賞した個人・団体一覧(NHK、RSK、本紙を除く)

 貧困ジャーナリズム特別賞 中川翔子(タレント)、安田夏菜(作家)、▽貧困ジャーナリズム賞 青山浩平(NHK)、乾英理子(同)、柴谷真理子(関西テレビ)、信友直子(映画監督)、土屋トカチ(同)、巣内尚子(ジャーナリスト)、山内深紗子(朝日新聞)、清川卓史(同)、中川聡子(毎日新聞)=敬称略、複数人で受賞の場合は筆頭者のみ

 

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