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【経済】

IT税、売上高で各国配分 OECD 国際規制骨格案

 経済協力開発機構(OECD)は九日、巨大IT企業などの過度な節税を防ぐ国際的な規制「デジタル課税」の骨格案を公表した。世界規模でサービスを提供する企業の一定水準を超える利益を課税対象とし、各国での売上高に応じて税収を配分する方向だ。骨格案には示されていないが、売上高に占める利益率が10%を超える企業に対し、10%超部分の一部に課税する案が有力視されている。

 OECDは一カ月ほどかけて意見を公募し、十一月にパリ本部で開く公聴会を経て来年一月に国際的な大筋合意を目指す。十七日から米国で開かれる二十カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議にも報告する。

 現在は支店や工場など、企業が物理的な拠点を置く国が課税できるのが基本だ。国境を越えてネット広告や音楽配信などで稼ぐ巨大IT企業は利用者が多い国であっても、利益に見合う法人税を納めていない問題があり、新規制で合意すれば大きな節目となる。

 対象は、消費者向けビジネスを展開する売上高が一定額以上の大企業となる見込み。小麦や大豆などの一部農林水産業や金融業などは対象外とする。当初は「GAFA」と呼ばれるグーグルやアップルなど巨大IT企業を想定して議論が進められたが、骨格案では巨大IT企業を多く抱える米国に配慮し、幅広い業種を対象とした。

◆巨大企業、拠点ない国で利益 現行法人税対応できず

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 OECDは巨大IT企業へのデジタル課税について、新しい国際ルールの骨格案を発表しました。なぜ新たな制度が必要になったのでしょうか。世界各国は新ルールの運用で合意できるでしょうか。 (大島宏一郎)

 Q そもそもデジタル課税とは何ですか。

 A インターネットで世界中にサービスを提供する巨大IT企業に対し、適切な金額の法人税を課すことです。

 企業名の頭文字から名付けられた巨大IT企業四社の「GAFA」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)は、ネット広告や音楽配信などを通じて世界中で利益を上げています。利益には国ごとに法人税が課されますが「莫大(ばくだい)な利益に見合った法人税を払っていない」との指摘がありました。このため「新たなルールづくりが必要」との声が広がったのです。

 Q GAFAの法人税の負担が低くなっている理由は何ですか。

 A 現行の法人税のルールが国境を越えた経済活動に対応できていないからです。IT企業の一部は、利益を法人税率が低い国の現地法人に移すといった「節税策」を駆使しています。GAFAは日本法人を開設していますが、日本の国税庁はこれを問題視し、修正申告を求めるケースが相次いでいます。

 法人税は企業が支店や工場などの拠点を置く国が、課税することが基本です。ところが製造業などと違い、消費者が多い国に拠点を設けていないIT企業は多く、利益に見合う税を納めていないことが問題視されてきました。実際、欧州委員会によると、利益に対する納めた税金の割合を示す「税負担率」は、欧州の一般企業は23・2%ですが、IT企業は9・5%にとどまっています。

 Q デジタル課税は国際的な合意を得られるでしょうか。

 A GAFAの本拠地を抱える米国は、デジタル課税の制度ができると税収が落ち込むと反発しそうです。一方、フランスはIT企業の利益でなく、売り上げに課税するデジタル課税の導入を決めており、英国も独自のデジタル課税制度を設ける方針です。東京財団政策研究所の岡直樹氏(国際課税)は「各国の足並みがそろっていない。国際ルールをまとめるのは難しい状況で、来年一月に大筋合意に達するかは分からない」と指摘しています。

 

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