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【経済】

関電会長辞任 疑惑次々、追い込まれ

金品受領問題で辞任し、記者会見する関西電力の八木誠会長。右は岩根茂樹社長=9日午後3時45分、大阪市で

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 世論の不信を甘く見た関西電力経営陣の続投宣言はあっけなく崩壊した。被害者意識すら漂わせた前回から一転、関電は九日の記者会見で八木誠会長らの辞任を発表した。政府は原子力政策や政権批判に飛び火する事態を警戒するが「原発国会」と化した臨時国会で野党はさらに追及する。

 ▽被害者意識

 「お客さまや社会の皆さまの信頼やお気持ちを裏切り、深くおわびする」。八木氏は九日の会見で神妙な面持ちを見せた。岩根茂樹社長も十二月下旬をめどに第三者委員会の調査結果が出る時点で辞任すると説明。二人が辞意を固めたのは今月四日だったと明かした。

 二日前の今月二日。岩根氏らは金品受領問題が発覚してから二度目の会見に臨み、昨年九月にまとめた社内調査報告書を公表した。福井県高浜町の元助役にどう喝された、返却すると倍の金品が送りつけられた−。金品を受領した幹部の証言は生々しく、行間からは「被害者」であるかのような雰囲気もにじんだ。

 これには身内のはずの大手電力からも「事の重大さに気付いていない」「自分の会社を守ることしか考えていない」と失望の声が噴出した。

 ▽隠蔽体質

 関電にとって誤算だったのは、報告書の公表後も新たな疑惑が次々と表面化したことだ。金品受領の始まりは二十年以上前までさかのぼり、元助役が顧問だったとされる建設会社「吉田開発」に対して多額の原発関連工事を特命発注していたことも明らかになった。

 八木氏ら経営陣は問題を把握しながら取締役会に報告せず、企業統治の欠陥と隠蔽(いんぺい)体質も申し開きできなくなった。

 経済産業省の内部には、八木、岩根両氏の辞任を不可避と見つつ、第三者委の調査結果が出るまで残留を求める動きもあった。過去数十年分を調べれば「新たな問題が出てくる可能性が高い」(幹部)。疑惑を全て出し切った段階で経営責任を問う方が、原子力政策への不信の連鎖を止めやすいとの思惑からだ。

 だが、原発再稼働の鍵を握る地元自治体からも厳しい声が噴き出す中で、関電経営陣もこれ以上の延命に持ちこたえられなくなっていた。

 ▽献金発覚

 関電の筆頭株主である大阪市は、問題発覚当初から経営陣を厳しく批判してきた。第三者委に市の推薦する人を入れるよう注文を付け、株主代表訴訟や臨時株主総会の招集要求もちらつかせて関電に決断を迫った。

 八木氏らの辞任が発表された九日午後、取材に応じた松井一郎市長は「役員の刷新は僕が株主総会で提案しようと思っていたこと。メディアを通じて伝わったんじゃないか」と満足げに語った。

 今回の問題を「一民間企業の不祥事」と位置付ける政府は、八木氏らの辞任を「既定路線。あれだけの問題だから当たり前だ」(高官)と突き放す。

 だが心中は穏やかではない。安倍晋三首相に近い自民党の稲田朋美幹事長代行と世耕弘成参院幹事長が元助役関連の会社から献金を受けていた事実も発覚。首相周辺は「野党が政権と元助役の関係を突いてくるのは間違いない」と身構える。

 野党は批判のボルテージを上げ、立民の安住淳国対委員長は「国会で都合の悪いことを聞かれるのは嫌なのか。逃さない」と徹底追及を宣言した。

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