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【経済】

貿易協議部分合意 米中、一定成果を演出 摩擦長引き疲弊、思惑一致

11日、ワシントンのホワイトハウスで中国の劉鶴副首相(左)と握手するトランプ米大統領=AP・共同

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 米中両国が貿易協議で部分合意に達したのは、長引く貿易戦争で双方の経済に陰りが見える中、両政府とも一定の成果を誇示して求心力につなげる思惑で一致したからだ。トランプ米大統領は支持基盤の農家にアピールし、中国側も制裁関税による景気の悪化を避ける狙い。だが中国の産業補助金の削減など、意見の隔たりが大きい懸案事項を先送りした形だ。

 「米国の農家にとってこれまでこんな大きな取引はなかった」。トランプ氏は十一日、中国が大豆や豚肉など米国の農産品を大量に購入する成果を誇示した。

 一年半に及ぶ貿易戦争で、報復関税の標的にされた支持基盤の農家は「先行きの展望が見えない」(中西部の大豆農家)と不満を募らせる。トランプ氏にとって来年秋の大統領選が約一年後に迫る中で、支持層が多い製造業でも景況感が悪化し、ひとまず目に見える成果が欲しかった国内事情がある。

 これまで互いの輸出品に制裁関税をかけ合い、「我慢比べ」を続けてきた米中だが、その「痛み」が無視できなくなった格好で、今回は関税引き上げの延期など、妥協しやすい分野などで手を握った「ミニ合意」の側面が強い。中国側が要望してきた通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対する禁輸措置の緩和は含まれなかった。

 一方、景気減速が顕著な中国では、輸出企業がさらに打撃を受ける米追加関税の発動は、是が非でも回避したいところだった。

 中国では今月、共産党の重要会議「第十九期中央委員会第四回全体会議」が開催される。求心力を維持したい習近平(しゅうきんぺい)指導部としては「協議が決裂した状態で会議に臨むのは、正直避けたいところだろう」(北京の外交筋)との見方がある。

 加えて中国では豚肉など食料品の価格が急上昇しており、米農産品の購入は譲歩しやすいカードだった。

 食料品価格の上昇は庶民の不満に直結するだけに、米国から豚肉や飼料となる大豆を調達し、供給不足の解消につなげる側面もある。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は「(農産品は)もともと中国社会が必要としていた」と指摘した。

 一方で焦点だった中国の国有企業への優遇策や産業補助金の削減は、共産党の統治体制の根幹にもかかわる問題なだけに、今後も譲歩の可能性は低いとみられる。 (ワシントン・白石亘、北京・坪井千隼)

 

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