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【経済】

台風19号 もろい送配電網また露呈 想定外の停電、人海戦術に限界

 台風19号は深刻な大雨被害の裏で、停電による国民生活への悪影響も広範囲に及んだ。復旧作業に手間取った台風15号を教訓に、電力各社はあらかじめ手厚く人を配置する人海戦術で臨んだが、一部地域は停電解消に時間を要する見通しだ。日本列島を相次ぎ襲った巨大台風は、暮らしを支える送配電網のもろさを改めて浮き彫りにした。

 ▼2万人態勢

 「千葉の配電網は弱い」。台風19号が迫った十一日、東京電力関係者は不安を口にした。先月の台風15号の爪痕が残る千葉県では先端が折れた電柱に電線をはわせて送電を行うような「仮復旧」の設備もあり、被害の拡大が予想されたためだ。

 東電は今回、15号の七倍を超す約一万七千三百人の初動態勢を敷き、約二万人まで拡充。復旧見通しを二転三転させた苦い教訓を踏まえ巡視を強化し、人が近寄るのが難しい場所は小型無人機ドローンを活用した。

 復旧見通しは国のルールに沿って停電のピーク時から二十四時間以内に報告。現段階で作業は計画通りに進んでおり、東電関係者は「現場と一体になり死ぬ気でやっている」と手応えを語った。

 ▼事前予測

 だが、災害に「想定外」は付きものだ。

 中部電力は、事前予測を基に強風で被害が拡大するとみた静岡県に人員を手厚く配置した。ところが実際は千曲川の堤防が決壊し、山間部の土砂崩れも起きた長野県に被害が集中。大規模氾濫で停電の復旧がままならない事態が生じた。

 担当者は「人員配置が結果的にどうだったのか、今の段階では言えない」と言葉を濁す。一方、別の関係者は「大型台風が頻発し、毎回のように想定外の被害が起きている。従来の考え方を変える必要があったかもしれない」と漏らした。

 ▼住民負担

 これまでの台風でも明らかだった送配電設備の脆弱(ぜいじゃく)さは課題として積み残されたままだ。千葉県の停電は今回約十三万戸と台風15号の約六十三万戸に比べて小規模で済んだものの、倒木による電柱や電線の損傷などが原因で一部地域は復旧までの作業が長引く見通しだ。

 東電は「インフラの維持・改修などに使う費用は一九九〇年代と遜色ない水準だ」(幹部)として否定するが、停電が頻発する背景に設備投資抑制によるインフラの老朽化を疑う声もある。

 政府内では電線の地中化や電柱などの耐風基準引き上げといった対策が取り沙汰されるが、いざ実行に移すとなれば、電気料金の形で住民に跳ね返る恐れがある。災害に備えた電力インフラの費用を誰がどこまで負担するのかという、難しい課題を突き付けている。

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