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【経済】

FB、ニュースに対価 米メディア業界からグーグルにも追随求める声

 米フェイスブック(FB)が、米国での新しいニュース配信サービスに記事を提供してくれる報道機関に、対価を支払う方針を表明した。ネット上の広告収入を吸い上げ、報道機関の経営を悪化させているとの批判を受け、従来の方針を転換した。だが、問題の根本的な解決には程遠いのが実情だ。(アメリカ総局・白石亘、写真も)

◆CEO、新サービス発表会で雪解けアピール

 「インターネットがニュース業界のビジネスモデルに破壊的な影響を与えたのは周知の通り。すべてのプラットフォーマーはニュースに資金を提供し、協力関係をつくる責任がある」

 FBのザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は二十五日、ニューヨークで開いた新サービスの発表会でこう語り、多くのメディアと複数年の契約を締結して、提供を受ける記事に対価を支払うと宣言した。

 ザッカーバーグ氏とともに登壇したのは、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)などの親会社ニューズ・コーポレーションのトムソンCEO。「質の高いニュースに報いるべきだ」と、FBを長年批判してきたトムソン氏は「なぜこんなに時間がかかったのか」と、率直な物言いで場を和ませ、両者の「雪解け」を印象づけた。

◆全国紙や地方紙、テレビ局など200社の記事

 二十万人を対象に試験的に始めた「FBニュース」は、スマートフォンのFBアプリ内にニュース専用のタブを設け、全国紙や地方紙、テレビ局など二百社の記事を載せる。掲載料は記事の量や読者の数に応じて変わる。WSJによると、全国紙には年数百万ドル(数億円)、地方紙などに年数十万ドル(数千万円)程度が支払われるという。

 ザッカーバーグ氏が方針転換に追い込まれた背景には、米政府や議会などからの批判の高まりがある。公正な競争をゆがめた独占禁止法違反の疑いで、インターネットの基盤になるサービスを提供するFBやグーグルなどのプラットフォーマーは、規制当局や州政府、米議会から調査を受けている。

巨大ITの独占問題に関する米議会の公聴会で宣誓するメディア業界などの代表者ら=6月、ワシントンで

写真

◆米国ネット広告市場、FBとグーグルでシェア6割

 特に米議会は六月の最初の公聴会で巨大IT企業が地方紙の衰退に与えた影響を取り上げるなど、関心が高い。ザッカーバーグ氏は二十五日、米紙に寄稿し「ジャーナリズムを支えてきた広告収入は、現在われわれのような企業に流れている。地方紙は最も大きな打撃を受けた」と認めた。

 米ネット広告市場はFBとグーグルの二社が六割のシェアを握る「複占」状態だ。こうした中、データ流出など不祥事が相次ぐFBには特に厳しい視線が注がれており、FBは批判をかわす対策が必要だった。

◆解決には程遠く

 だが米国の約二千の報道機関が加盟する「ニュースメディア連合」のチャーバンCEOは声明で「包括的な解決策には程遠い」と訴えた。参加するメディアの数が限られる上、参加していても一部のメディアは対価を受け取れないこともある点を改善するよう求めた。その上で「グーグルも世界中のメディアと戦うのではなく、FBの例に続くことを願う」と注文をつけた。

 グーグルをめぐってはメディアとの対立が欧州でも激化。フランス政府は先週、IT企業がニュース記事や画像をサイトに表示する際は、使用料を配信元のメディアに支払うよう義務付けた。だがグーグルは拒否する意向だ。新聞アナリストのケン・ドクター氏は「EUによるプラットフォーマーの取り締まりが米国でのFBの決定に影響を与えた」と指摘。今後のグーグルの対応を注視する。

 

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