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【経済】

<変わる東京2020>羽田新ルート周辺 不動産価格に住民不安

 羽田空港新ルート周辺の住民からは「騒音で自宅周辺の不動産価格が下がるのではないか」などの不安の声が出ている。これを受け国土交通省は今月十八日以降に各地で開く住民説明会で、比較のために他空港周辺の不動産価格動向を調べた独自調査の結果を公表する方針を固めた。ただ「航空機の飛行経路と不動産価値の変動に直接的な因果関係を見いだすことは難しい」との従来の見解は変えない見通しだ。

 一級建築士で、ブログ「マンション・チラシの定点観測」を開設するマンションアナリストの武内修二氏は、新ルート周辺の不動産価格をみると、全体的には「(新ルート設定による)影響は現時点でほとんどみられない」と話す。

 ただ、ここ六年で価格が三割ほど上がった品川、港両区の中古マンション市場でも、新ルートに近いタワーマンション(二十階建て以上)の数件に限ってみると「下落または頭打ちの傾向がみられる」という。武内氏は「(旅客機が飛行し)騒音を実感するようになれば、(新ルート周辺の)不動産価格に影響が出る可能性が高い」と予測する。

 不動産コンサルティング会社、さくら事務所の長嶋修代表によると、米ロサンゼルス空港周辺では「騒音が一デシベル上がるごとに不動産価格が1・33%下落した」との米企業の報告がある。

 これを羽田の新ルート周辺に当てはめると、不動産価格が最大26%下がる場所が出てくる計算になるという。長嶋氏は「実際はこんなに単純に影響を算出できない」としながらも「新ルートは高級住宅地の上空を含むこともあり、影響は大きいかもしれない」とみる。

 国交省は二〇一五年以降、新ルート周辺で約百六十回、住民説明会を開催。専門家の指摘と同様、参加者から不動産価格の下落を懸念する声が出た。

 このため来年一月にかけ、計六十回開く今回の説明会では「国内の他空港周辺をみても、空港に近い場所ほど不動産価格が大きく下落しているといった傾向は見られない」などの調査結果を示す方針。ただ、どこまで住民の理解が得られるかは見通しにくい状況だ。 (池井戸聡)

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