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【経済】

終わらない経済対策 増税しても国の借金減らず

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 安倍晋三首相は八日、相次ぐ自然災害への対応や景気の悪化を防ぐため、経済対策の編成をするよう関係閣僚に指示した。昨年巨額の予算を計画した防災や消費税増税の対策が終わっていない中、また国費を投入する。増税したのに国の借金返済は進まず、将来世代へのツケが増える恐れがある。 (渥美龍太)

 対策の柱となる防災は、台風19号などからの復旧のために予備費千三百億円余りを支出するだけでなく、水害予防など中長期的な課題に対応する。西村康稔(やすとし)経済再生担当相は会見で昨年末に決めた事業規模七兆円の防災の緊急対策(二〇一八〜二〇年度)を終えた後の対応を念頭に、「(緊急対策の)先の予算確保をする姿勢で臨む」と意気込んだ。

 政府の防災事業を巡っては、会計検査院が八日、過去の対策事業で数多くの不備があったと発表した。緊急性のある事業だけでなく中長期のものも今回検討される点に、あるエコノミストは「年末までの短期間の議論で決める必要はそもそもない」として、政府が不備をまた生みかねないとみる。

 増税に伴う消費の下支えでは、キャッシュレス決済へのポイント還元予算が足りなくなる可能性が出ていることの補充を検討。マイナンバーカードの取得者に対するポイント還元制度も導入する見通しで、本年度予算で二兆円を超えた増税対策は膨らむ一方だ。

 政府が増税の影響を限定的と説明しながら対策を打つことには、内部からも「整合性が取れない」(経済官庁幹部)との批判もある。政府は対策が必要な理由に「海外経済が低迷するリスク」を挙げるが、今後も何らかの大義名分で対策が頻発しかねない。

 さらに安倍首相は「東京五輪後を見据え、中長期に経済成長していく基盤を重点的に構築する」とも述べ、緊急性のない政策も盛り込まれる様相。団塊世代が順次七十五歳を迎えて社会保障費の急増が見込まれる二二年を目前にしても、給付をまかなう財政の悪化は続きそうだ。

 日銀元審議委員で野村総研の木内登英(たかひで)氏は「海外経済が急速に悪化する状況に至っておらず、現段階での対策は疑問」と指摘。その上で「いつまでも対策が続き、増税をしたのに財政が悪化するという皮肉な状況に陥りかねない」と警鐘を鳴らす。

 

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