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【経済】

農水ファンド投資停止へ 累損115億円、早期廃止も視野

 農林水産省所管の官民ファンド「農林漁業成長産業化支援機構」(A−FIVE)が二〇二〇年度末にも新規投資を停止することが二十一日、財務省への取材で分かった。累積損失が膨らみ続けており、両省は現在のビジネスモデルでの継続は難しいと判断し、早期の廃止を視野に見直しを進める。新たな投資は現在検討中の案件を除き当面控えるとみられ、既存の投資の回収を進める。

 安倍政権にとって農林水産業の成長産業化に向けた取り組みの一つが、つまずいた格好だ。官民ファンドは、政府保有株の配当収入などを産業振興に充てる「財政投融資」を元手に事業を営んでいる。財務省は二〇年度の財政投融資計画で、A−FIVEが要求していた百十五億円から大幅に削減する見通しだ。

 A−FIVEは農林漁業者が加工や販売までを担う六次産業化の案件に出資している。金額が約一億円と一件当たりの投資金額が小さい一方で、ファンドの運営費がかさみ、財務省や農水省が問題視していた。

 一九年度上半期の投資実績も十六億円で目標の三十三億円に届かず、二〇年三月末時点の累積損失は百十五億円に膨らむ見込み。法律上のファンドの設置期限は三二年度だが、大幅な前倒しを迫られることになった。不振のまま事業を終えれば国が投じた資金を回収できず、国民につけが回る恐れがある。

 財務省はA−FIVEを含め、日本文化を海外に売り込む「クールジャパン機構」など累積損失を抱える四つの官民ファンドの経営状況を厳しく見ている。四ファンドの累積損失は一九年度末時点で計約四百六十億円になる見通しで、立て直しが急務となる。

 江藤拓農相はA−FIVEの組織の在り方を「抜本的に見直す」と表明していた。財務省は現在の業務を続けても損失が拡大するだけで、実績が上向く見通しが立たなければ、財政投融資の要求額を取り下げるなどと厳しい姿勢を示していた。財務省が十二日に開いた財政制度等審議会の分科会では、有識者から廃止を求める意見も出ていた。

 

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