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【経済】

<働き方改革の死角>受付女性メガネ禁止「パワハラ」 企業ルール規制 あす政府に要望 

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 女性にメガネ着用を禁止する企業のルールが議論を巻き起こしている。受付などで禁止する事例が出ているが、「女性を見た目で評価している」と識者らは批判。女性グループは働きやすい職場を目指す政府主導の働き方改革にも反するとして、政府が年内に決定するパワハラ防止指針に外見・服装についての不要なルール強制はハラスメントにあたると明記するよう三日に緊急要望書を出す。 (嶋村光希子)

 「見栄えが悪いからコンタクトレンズ入れてこいと言われた」「前の職場でも禁止だった」−。議論に火を付けたのはネットニュースサイトのメガネ禁止の実例に関する記事。これをきっかけにSNSでは女性から体験の報告が相次いだ。

 実際にどんな企業が禁止しているのか。受付女性に関し、経団連会長を出す日立製作所などは「禁止していない」と話す。

 しかし、多くの企業で受付は派遣社員が担当している。多数の大企業の受付に社員を派遣する大手派遣会社は「正確な統計はないが、実感的には大企業の半数以上がメガネ着用を控えるよう求めてくる」と明かす。「受付は企業の顔なので、より良いイメージを伝えてほしい」などの理由を挙げる企業が多いという。

 デパートの化粧品売り場で、客の要望を聞きながら化粧品を販売する美容部員の女性についても、一部の化粧品メーカーがメガネを禁じていることが判明した。ある大手メーカーは「お客さまに自社の化粧品を使った目元の化粧がよく見えるように」と説明する。また、国内航空会社も客室乗務員のメガネを禁じるが、これは男性乗務員にも共通するルール。緊急時に落下すると危険との理由だ。

 規定まではいかないものの、女性がメガネをかけにくい慣習も日本企業にはまん延している。就職活動中の東京都の女子専門学校生(20)は「表情が伝わりにくいという評判を聞いて、面接時だけコンタクトを着けている」と明かす。着用が長時間だと目が痛くなるが、「仕方ないと割り切っている」という。

 日本企業の女性へのメガネ禁止ルールは米ワシントン・ポストなど海外メディアも批判的に報道。有名歌手のシンディ・ローパーさんはツイッターで記事を引用、自身のメガネ姿の写真とともに「メガネのおかげで私は仕事を効率的にできる」と投稿した。

 武蔵大学の千田有紀(せんだゆき)教授(社会学)は「一部企業での女性へのメガネ禁止は女性を能力でなく見た目で評価していることになり、人権侵害だ。メガネは本来医療器具であり、長時間のコンタクトはドライアイなどで健康も害しかねない面もある」と批判。過剰なルールは廃止すべきという。

◆#KuToo運動グループ 「らしさの押し付け 対策主導を」

 外見・服装について三日に要望をするのは女性へのパンプスやヒールの高い靴の義務付けに反対してきた「#KuToo」運動を進めるグループだ。

 政府は女性活躍・ハラスメント規制法を来年六月から大企業に適用(中小企業は二〇二二年四月)し、就業規則でのパワハラ禁止や相談窓口設置を義務付ける。厚生労働省が年内に策定する同法指針にはパワハラに該当する具体例などを明記する。

 ヒールの高い靴の強制については国会で高階(たかがい)恵美子厚労副大臣(当時)が「強制されるものではない」と答弁。女性のメガネ禁止も加藤勝信厚労相が「同じ仕事で男性は良くて女性はダメというのは男女雇用機会均等法の趣旨に合わない」と答弁した。だが同省が先月示した指針案では服装や外見についての言及はない。

 #KuToo運動を進める石川優実代表は「政府は問題と認めながらも指針案に何も書いていない。『女性らしさの押し付け』に苦しめられている人たちが一人の人間としてみてもらえるよう、政府が主導すべきだ」と話す。

 

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