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【経済】

<原発のない国へ 福島からの風>「ご当地電力」 支援不可欠 国は送電線活用促進を

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 会津電力による次世代農業ハウス(福島県会津美里町)は、地域で発電した再生可能エネルギーを地域で使う「分散型発電」の試みとして注目される。原発事故後に芽吹いた地域資本による再エネ開発の機運をしぼませないため、大手電力が独占運営する送電線を有効活用させる政府の側面支援策も不可欠だ。 (池尾伸一)

 原発事故後、脱原発意識の高まりから再エネで発電する「ご当地電力」が各地で生まれた。福島でも会津電力はじめ、企業や市民が出資・運営する電力会社が多数発足。同県も県内の需要を100%再エネで発電する計画を立てた。関東では、「調布まちなか発電」(東京都調布市)、「市民エネルギーちば」(千葉県匝瑳(そうさ)市)などが誕生した。

 だが、事故から約九年がたち、脱原発を目指す市民と政府の政策とのギャップが目立つ。政府は、二〇三〇年度時点での発電に占める原発比率を20〜22%まで高める一方、一八年度17%の再エネは最大22〜24%にとどめる方針。再エネを買い取る固定価格を太陽光については急速に引き下げ、大手電力も電線の容量を理由に出力五十キロワット以上の発電の接続を拒否している。

 こうした中、ご当地電力の活動は停滞している。会津電力も、太陽光の新規立地は凍結を余儀なくされている。農業ハウスによる地産地消は、幾重もの制約に直面し、活路を見いだす試みだ。その場で消費できれば大手電力が受け入れを拒んでいても関係ないし、固定価格の引き下げの影響も受けない。自然災害時の非常用電源にも活用できるので潜在能力は高い。

 ただ、蓄電池の価格は数百万円とまだ高く、地産地消型プロジェクトは農業やオフィスビル、ホテルなど営業用の施設向けから徐々に広げていくしかない。

 安田陽・京大特任教授によると東北電力の基幹送電線三十四路線の平均利用率は12%にとどまっており、実際には再エネ受け入れ余力が大きいことを示している。「ご当地電力」の本格成長に向け、大手電力の送電網独占を排し、柔軟な運用で再エネ受け入れを促す透明なルール作りが急務だ。

<会津電力> 東京電力福島第一原発事故を受け、脱原発を目指す市民や地元企業により2013年設立。市民や地元市町村が出資。本社は福島県喜多方市。初代社長は同市の造り酒屋・大和川酒造店当主の佐藤弥右衛門氏(現会津電力会長)が務めた。太陽光発電所約80カ所のほか小水力発電所を運営。風力発電所も計画中。

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