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【経済】

米の家電IT見本市 個人情報保護、厳しい視線

CES会場で登壇したフェイスブックの幹部(左)とアップルの幹部=7日、米ラスベガスで(白石亘撮影)

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 【ラスベガス=白石亘】開催中の世界最大の家電IT見本市「CES」では、個人情報の保護が重要なテーマになっている。相次ぐ個人データの流出を受け、米規制当局のトップが法整備を訴えた。GAFAと呼ばれる米国の巨大IT企業も情報保護の取り組みをアピールするなど、不透明な個人データの取り扱いに厳しい視線が注がれている現状が浮き彫りになった。

 「プライバシーに対する懸念は明らかに重要さを増している」。消費者保護を担う米連邦取引委員会(FTC)のシモンズ委員長はCES開幕の七日、会場での対談の席上で語った。

 シモンズ氏はフェイスブック(FB)が八千七百万人の個人データを流出させた問題で、史上最高額の五十億ドル(約五千四百億円)の制裁金を科した規制当局トップ。百年前の法律で対処せざるを得ないのが現状として「議会は現代に合った法律を考えるべき時が来た」と力説した。カリフォルニア州など一部の州で消費者が求めた場合、個人情報を消去するよう企業に義務付けたり、個人情報流出に厳罰を科す動きが出ており、連邦レベルでも法整備の必要性を訴えたものだ。

FTCのシモンズ委員長=白石亘撮影

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 技術の進歩が明るい未来につながるとの西海岸の楽観的なムードが支配してきたCES。そうした場に似つかわしくない規制当局のトップがゲストに招かれたのは、「今年最も注目が集まっている製品はプライバシー」(米CNN)との風向きの変化がある。スマートフォンから個人データを集め、関心に沿ったターゲット広告で収益を稼ぐビジネスが拡大。知らないうちに吸い上げられたデータを誰が何の目的で使っているのか、不安を反映した形だ。

 アップルが今年、約三十年ぶりにCESに参加したのも、製品の発表ではなく、幹部が個人情報に関する討論会に出席するためだ。FB幹部も加わった討論会には定員を超える五百人近い聴衆が詰め掛け、関心の高さをうかがわせた。両社はデータ保護の取り組みを説明したが、同席したFTC幹部は「一般論」と前置きしつつも「プライバシーが保護されているとは思わない」と語り、規制当局とハイテク企業の認識の差が浮き彫りになった。

 CESでは、グーグルが注力する音声アシスタント製品で、家庭の会話などが収集された場合でも、ユーザーが「今週、私が話したことをすべて消して」などと言えば、データが簡単に削除できる対策を発表。大量のデータを保有するGAFAは今や社会インフラとも言える存在になりつつあり、個人情報保護で信頼を取り戻せるか注目される。

<GAFA(ガーファ)> 米国に本社を置き、ITサービスを世界展開するグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・コムの巨大企業4社の頭文字を並べた言葉。それぞれが手掛ける検索サービスやアプリ販売、会員制交流サイト(SNS)、ネット通販で強い競争力を持つ一方、不透明な取引や個人情報の扱いを懸念する声がある。IT企業の規制を巡り各国で論議が活発化しており、2018年には欧州連合(EU)が個人情報管理をより厳格化する新規則を施行。日本でも、個人情報保護法の改正案が、今年の通常国会で審議される予定。

米アマゾン・コムのAI「アレクサ」を搭載したピックアップトラックの展示=ロイター・共同

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