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【経済】

<ワールド経済ウオッチ>韓国 「時短コンビニ」増加 人件費急騰、戦略見直し

韓国はコンビニが多く、過当競争で1店舗当たりの利益が減少傾向にある=いずれもソウルで

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 日本のコンビニエンスストアで二十四時間営業の見直しが進む中、韓国でも営業時間を短縮するコンビニが増えている。日本のように人材不足が理由ではなく、政府の最低賃金引き上げで人件費の負担が重くなっていることが最大の要因だ。店舗数の急増で競争が激化し、一店舗当たりの売り上げが減っている点も影響している。 (ソウル・中村彰宏、写真も)

■落ち込む利益

 「売り上げは減っているのに人件費は上がり、経営は厳しい。夜の営業をやめようと思っている」

 ソウル市内で二店舗のコンビニを経営する男性(40)は嘆く。月の利益は、二店合わせても三百万ウォン(約二十九万円)ほど。数年前からは三割程度減った。以前は店舗管理だけをしていたが、人件費を抑えるためアルバイトを削減。妻と交代で店頭に出るようになった。二店舗をカバーするため、一日に十五時間ほど勤務することもあるという。

 韓国のコンビニも二十四時間営業が基本だが、夜間が赤字になった場合などに営業時間を短縮できる。CU、セブン−イレブン、GS25の三大大手チェーンでは、二十四時間営業をしない店舗が年々増えており、二〇一九年九月現在で約二割。背景には、韓国政府による所得主導の経済政策がある。

 文在寅(ムンジェイン)政権は最低賃金を時給一万ウォン(約九百七十円)に引き上げる公約を掲げており、最低賃金は一七年の六千四百七十ウォンから一九年には八千三百五十ウォンと二年間で約30%も上昇した。

 店主でつくる全国コンビニ加盟店協会によると、一店舗あたりの月平均利益は一七年の約百九十五万ウォンから一八年には約百三十万ウォンに落ち込んだ。同協会の金志雲(キムジウン)事務局長は「人件費がこんなに一気に上昇するとは予想していなかった。アルバイトよりも収入が低い店主もいる」と明かす。

■営業時間を自由に

 一方で営業時間の自由をうたい、店舗数を拡大しているチェーンもある。新興の「eマート24」は一七年に、店主が営業時間を自由に決められる制度を導入。他チェーンから乗り換える店主も増え、店舗数はこの二年間で二千六百店から四千五百店に急増した。

 このうち二十四時間営業をしない店舗は八割近くに上る。広報担当者は「店主の負担を考え、コンビニ経営に新たな運用モデルを提供した結果だ」と話す。

 韓国内のコンビニ数は一八年十一月現在で約四万二千店で、人口千二百人あたり一店舗の割合だ。日本では二千二百人に一店で、日本の二倍近い過密状態にある。競争の激化で一店舗あたりの売り上げは減少傾向。LG経済研究院の李地平(イジピョン)・常勤諮問委員は「今後、店舗数は大きくは増えないだろう。競争を勝ち抜くには、食品の充実など日本流の手法も取り入れ、差別化を図る努力が必要だ」と話す。

24時間営業をしない店舗が8割近くを占めるeマート24

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