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【経済】

2025年度赤字、3.6兆円に 政府の財政試算 税収減で悪化

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 内閣府は十七日、今後十年間の経済財政の試算をまとめた。教育や社会保障などの政策経費を借金なしで賄えるかを示す「基礎的財政収支」は、黒字化を目指す二〇二五年度の赤字(国と地方の合計)は三兆六千億円となる。楽観的な経済成長を実現できたとしても、昨年七月に試算した二兆三千億円から一兆三千億円悪化する。 (渥美龍太)

 基礎的財政収支の赤字幅拡大は、世界経済の減速に伴い税収が減ることが影響。西村康稔(やすとし)経済再生担当相は会見で、二五年度の黒字化を「歳出改革をすれば不可能ではない」と述べた。

 物価変動の影響も含んだ名目国内総生産(GDP)の成長率は二三年度以降に3%台の高い数字で推移すると想定。この場合、基礎的財政収支の黒字化は二七年度となり、GDPに対する借金残高の比率は一九年度の192%をピークに下がる。楽観的な成長予測に対し日本経済の実力に近い名目成長率1%台のケースでも試算。基礎的財政収支の赤字八兆円を二九年度でも解消できず対GDPの借金残高比率も先進国最悪の190%程度のままとなる。

◆経済成長3%「楽観予測」

 政府が示す経済予測の試算は識者から「楽観的」と批判されています。問題点を整理しました。

 Q この試算は何のために使われますか。

 A 政府の予算編成や経済政策を決める際の基礎資料となります。公的年金が将来にわたって大丈夫かの検証にも使われます。半年ごとに公表する重要な試算ですが、あまり信頼されていません。

 Q なぜ信頼されないのですか。

 A 試算には二種類あり、批判が強いのは高い経済成長が実現するケースです。今回は二〇二三年度以降、物価変動の影響も含んだ名目成長率が3%超の水準で続く想定ですが、実は成長率が今の算出方法になった一九九五年度以降、3%到達は一度もありません。安倍政権が初めて公表した一三年八月の試算では一四年度に3%になると想定したのに下方修正を繰り返しました。

 Q もうひとつの試算はどんなものですか。

 A 日本経済が今の実力の低成長が続くケースです。基礎的財政収支は赤字のままで、日銀が目標とする物価上昇率の前年比2%も達成できないことになります。こちらの低成長ケースの方が現実的だとする外部の識者は多いです。

 Q 政府はなぜ楽観的な数字ばかりを前面に出すのですか。

 A ニッセイ基礎研究所・上野剛志氏は「経済成長によって財政が良くなっていくという建前を止められなくなっている」と指摘しています。経済同友会は昨年十一月、政府の中長期試算が客観的ではないとして、政府から独立した外部機関が作るよう提案しています。

 

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